株式会社遺伝子治療研究所(本社:神奈川県川崎市、代表取締役:浅井 克仁、以下「GTRI」)とアステラス製薬株式会社(本社:東京中央区、代表取締役社長CEO:安川 健司、以下「アステラス製薬」)は、孤発性筋萎縮性側索硬化症*1(以下「孤発性Amyotrophic Lateral Sclerosis: 孤発性ALS」)を対象とした遺伝子治療プログラムGT0001Xの開発および商業化に関する全世界における独占交渉のオプション契約を締結しましたので、お知らせします。

 筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis: ALS)は運動ニューロンを選択的に障害し、手足、のど、舌の筋肉や、呼吸に必要な筋肉が次第に萎縮し、筋力が低下していく神経変性疾患です。日本、アメリカ、EU5(イギリス、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア)での患者数は約55,000人と言われており、60歳以降の有病率をみると、人口10万人あたり20~30人にも及びます。原因が不明で、かつ病勢の進行を止める有効な治療法が確立されておらず、日本では特定疾病の一つとして指定されています。ALS全体の9割以上を占める孤発性ALSでは、RNA編集酵素であるADAR2*2(adenosine deaminase acting on RNA 2)の活性低下が発症原因の仮説の1つとして報告されています。

 GT0001Xは、改変型アデノ随伴ウイルス(改変型Adeno-Associated Virus: 改変型AAV)ベクターにADAR2遺伝子を組み込んだ遺伝子治療用ベクターです。脊髄運動神経のADAR2を除去した病態モデルマウスにおいて、ADAR2遺伝子を組み込んだ改変型AAVベクターの投与により神経変性と運動機能障害の抑制が報告されています*3。現在、GTRIが孤発性ALSを対象として、本ベクターの開発を進めており、前臨床段階にあります。今後、臨床での有効性と安全性を確認していきます。

 GTRI取締役の村松 慎一は、「AAVベクターを利用した遺伝子治療が、世界各地で本格化の時代を迎えようとしています。この遺伝子治療は安全性が高く、特に神経変性疾患や先天性代謝疾患で効果が期待できるため、当社でも多くの適応症に対して開発を進めています。まずは根本治療の無い孤発性ALSを対象とした治験を実施し、難病に苦しむ患者の皆様のためにも開発を加速させていきたいと思います」と述べています。

 アステラス製薬の経営戦略担当役員である岡村 直樹は、「本提携は、最先端の科学、技術を積極的に取り込み、患者さんの価値に変えていくというアステラス製薬の戦略に基づく取り組みです。私たちはALSと闘う患者さんに1日でも早く画期的な治療薬を届けたいと考えております。今後もアステラス製薬は、最先端の科学を有する外部パートナーと連携しながら、アンメットメディカルニーズの高い疾患領域における新薬の創出に注力していきます」と述べています。

 今回の契約締結に伴う業績への影響は、2019年3月期連結業績予想に織り込み済みです。

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