- Xyphos社の人材および技術プラットフォームを獲得することにより、次世代がん免疫療法の研究開発をさらに加速 -

 アステラス製薬株式会社(本社:東京、以下「アステラス製薬」)は、Xyphos Biosciences, Inc.(本社:米国カリフォルニア州、CEO:James Knighton、以下「Xyphos社」)との合意に基づき、米国子会社を通じてXyphos社の発行済み全株式を取得することにより、米国太平洋時間12月26日に買収しました。本買収により、アステラス製薬は、Xyphos社が有するCAR(Chimeric Antigen Receptor:キメラ抗原受容体)-細胞療法に関する技術プラットフォームであるACCELTM(Advanced Cellular Control through Engineered Ligands)とともに、がん免疫の分野をリードする優秀な人材を獲得することになります。

 Xyphos社独自のACCELTM技術は、タンパク工学により創製した受容体とリガンドタンパクの特異的な結合を利用した合成生物学的手法に基づいています。受容体を発現させたナチュラルキラー(NK)細胞やT細胞といった免疫細胞(convertibleCAR®細胞)と、攻撃標的であるがん抗原を認識する抗体をリガンドタンパクと融合させた抗体-リガンド融合タンパク(MicAbody)を患者さんに投与し、治療する技術です(下図参照)。攻撃対象となるがん細胞の特徴に応じて、MicAbodyを取り替えたり、複数使用することで、convertibleCAR®細胞に異なるがん抗原や複数のがん抗原を認識させ、様々ながん細胞を攻撃することができます。また、MicAbodyの投与量を調節することで、免疫細胞による過剰な免疫反応を制御し、従来のCAR-T療法で見られるサイトカイン放出症候群(cytokine release syndrome)*1の発生を抑制できることも期待されます。さらに、MicAbodyの抗体部分を別のタンパクに替えることにより、convertibleCAR®細胞の増殖や生存制御も可能になります。Xyphos社のconvertibleCAR®-T細胞のリードプログラムは現在、前臨床開発段階にあり、2021年に初めての臨床試験が行われる予定です。今後、アステラス製薬の子会社であるUniversal Cells社が有するユニバーサルドナー細胞技術と組み合わせ、白血球型抗原(HLA)不適合による拒絶を抑えた多能性幹細胞からconvertibleCAR®細胞を作製することで、多くの患者さんの治療に用いることが可能な革新的CAR-細胞医療製品が創製できると期待しています。

CAR細胞の画像

 アステラス製薬の代表取締役社長CEOである安川健司は、「アステラス製薬では、がん免疫を研究開発戦略上のPrimary Focusのひとつに位置づけ、新たなモダリティ/テクノロジーによる次世代のがん免疫治療法の開発に取り組んでいます。Xyphos社が有する革新的な技術は、がん免疫領域において患者さんに価値をもたらす革新的な治療法を創出することを目指す私たちの戦略に合致するものです。この技術をこれまで培ってきた再生・細胞医療のケイパビリティと組み合わせることにより、がん免疫における次世代高機能細胞の創製が可能となり、技術価値を最大化することができると確信しています。私たちは、今後、Xyphos社の優秀なチームとともに、研究開発プログラムを進展させ、がん免疫パイプラインをさらに強固にしていきます」と述べています。

 Xyphos社のCEOであるJames Knightonは、「私たちは、がんの治療や治癒につながる可能性のある革新的な技術プラットフォームの開発を進めてきました。がん免疫に注力するアステラス製薬は、NK細胞およびT細胞の活性化を制御する技術プラットフォームから得られた治療薬候補を臨床開発へ進めていくための理想的なパートナーです。私たちは今後、アステラスグループの一員として、活気溢れるサウスサンフランシスコ地域において、がん免疫の研究開発をさらに加速させていくことを楽しみにしています」と述べています。

 買収の対価として、買収手続完了時に1億2,000万ドルが支払われ、Xyphos社はアステラス製薬の完全子会社となりました。当該支払いと、開発の進捗に応じたマイルストン支払いを合わせ、最大で総額6億6,500万ドルが支払われる可能性があります。

 本買収によるアステラス製薬の通期(2020年3月期)連結業績への影響は軽微です。

買収の概要
(1)    株式取得者:     アステラス US ホールディング Inc.
(2)    Xyphos社の主要株主:同社設立者、従業員等(ストックオプション含む)
(3)    株式の取得方法:   現金(手元資金を充当)
(4)    対価:        買収手続完了時の1億2,000万ドルの支払いおよび開発の進捗に応じたマイルストン支払いを合わせ、最大で総額6億6,500万ドル

対象会社の概要
(1)    名称:          Xyphos Biosciences, Inc.
(2)    所在地:         米国カリフォルニア州サウスサンフランシスコ
(3)    代表者:         CEO James Knighton
(4) 事業内容         がん免疫治療技術を活用した医薬品の研究開発
(5)    設立:          2017年
(6)    従業員数         7名

以上

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