アステラス製薬株式会社(本社:東京、社長:野木森 雅郁、以下「アステラス製薬」)は、開発を進めているゴナドトロピン放出ホルモン(Gonadotropin Releasing Hormone; GnRH)アンタゴニスト デガレリクス酢酸塩(一般名、開発コード:ASP3550、以下「デガレリクス」)の1ヶ月製剤に関し、本日、前立腺癌の適応症について厚生労働省に承認申請を行いましたので、お知らせします。

  デガレリクスは、皮下注射されるGnRH受容体拮抗薬です。GnRHは脳の視床下部で産生されるホルモンであり、脳の下垂体に存在するGnRH受容体に結合することにより、男性ホルモンの一つであるテストステロンの産生に関わっています。テストステロンは男性機能維持のために必要なホルモンですが、前立腺癌においては癌細胞の増殖を促進し、症状を進行させてしまいます。これに対してデガレリクスは、GnRH受容体へのGnRHの結合を競争的に阻害することによってテストステロンの産生を低下させ、その結果前立腺癌の増殖を抑制する作用があります。国内で実施した第II相臨床試験では、1年間の血清テストステロンの去勢レベルへの抑制・維持および安全性が確認されました。このたびの承認申請においては、国内で実施した第I相臨床試験および第II相臨床試験成績より、国内第III相臨床試験を省略し、海外で実施された第III相臨床試験等の成績を利用して申請しました。

  海外においては、デガレリクスは米国食品医薬品局(FDA)により2008年12月、欧州医薬品庁(EMA)により2009年2月に、前立腺癌治療薬として承認され、米国、カナダ、英国、ドイツ、フランス等の21カ国*で市販されています。

  アステラス製薬は、2006年1月、スイスの医薬品会社フェリングインターナショナルセンターSA(本社:サンプレ、Chairman: Frederik Paulsen、以下「フェリング社」)と、同社が創製したデガレリクスの前立腺癌治療に関する日本での独占的開発・販売権を取得するライセンス契約を締結し、第II相試験から開発を手掛けてきました。今回の承認申請に伴い、アステラス製薬は10百万ユーロのマイルストンをフェリング社に支払いますが、当期(2011年3月期)業績予想に織り込み済みです。

  アステラス製薬は、新規作用機序のデガレリクスを市場投入することにより、新たな選択肢を提供することで、前立腺癌治療に一層の貢献ができるものと期待しています。また、アステラス製薬は、過活動膀胱治療剤「ベシケア®錠」、前立腺肥大症の排尿障害改善剤「ハルナール®錠」などの製品を販売している泌尿器領域を重点領域と位置付けていますが、今回の承認申請は同領域における事業基盤を更に強化する重要な一歩であり、今後の重点領域と位置づけているがん領域への国内における参入の足がかりであると考えています。
  なお、発売時期、売上規模等は、わかり次第、お知らせいたします。

*2010年8月17日現在

 

以 上

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