アステラス製薬株式会社(本社:東京、社長:野木森 雅郁、以下「アステラス製薬」)は、当社の米国子会社アステラス ファーマUS, Inc.(本社:米国イリノイ州ディアフィールド)が、2007年9月に米国食品医薬品局(FDA)に対して提出していた、臓器移植患者が使用する経口免疫抑制剤の有効性と安全性の確保に関する市民請願(Citizen Petition)*1について、8月10日(現地時間)付でFDAより実質的に却下する旨の通知を受領しましたのでお知らせします。なお、アステラス ファーマUSはFDAに対して、本請願却下の妥当性について司法の判断を仰ぐため、ワシントンD.C. 連邦地方裁判所に訴訟を提起する考えです。
本請願は、narrow therapeutic index(NTI)の経口免疫抑制剤、すなわち治療域(安全域)が狭く血中濃度の微妙な差異が有効性・安全性に多大な影響を及ぼす経口免疫抑制剤について、それらを使用する臓器移植患者の安全でかつ有効な治療を確保するために、FDAに対して提出していたものです。本請願の主な内容は、NTIの経口免疫抑制剤については、健常人に加えて臓器移植患者においても生物学的同等性試験を実施*2すること、また、薬局で代替の経口免疫抑制剤が使用される際には、処方医が連絡を受けるように添付文書を改訂することなどです。
当社は、本請願の内容は臓器移植患者の安全でかつ有効な治療を確保するために必要な措置であると考えており、このたびのFDAによる本請願却下の妥当性について司法の判断を仰ぐため、アステラス ファーマUSがFDAに対してワシントンD.C. 連邦地方裁判所に訴訟を提起する考えです。また、本請願却下の判断について今後司法の判断を仰ぐことから、臓器移植患者の安全でかつ有効な治療を確保するために、FDAによる後発品承認の仮差止を同裁判所に提起する考えです。
*1市民請願(Citizen Petition)とは
FDAに対して規則の発効、変更、または取り消しやその他のアクションを公式に要請する、法に基づいた手段です。FDAは年間約200件の市民請願を受領しています。
*2臓器移植患者における生物学的同等性試験の実施について
生物学的同等性試験とは、新薬として承認された医薬品と代替薬の有効成分の体内への吸収がどの程度近いものかを検証する試験であり、代替薬は許容範囲内の吸収率があることを示す必要があります。NTIの薬剤では、その吸収率や臨床効果は他剤との相互作用や併用している他の治療状況等、種々の要因によって左右されます。臓器移植患者は、拒絶反応のリスクを低減するために、その多くはNTIの経口免疫抑制剤をはじめ平均10種の薬剤を服用しています。FDAは、他の薬剤と同様、NTIの薬剤においても健常人でのみ生物学的同等性試験が必要であるという見解を示しています。
以 上