TI Pharma、Merck KGaA(ダルムシュタット、ドイツ)、アステラス製薬株式会社(本社:東京、社長:畑中 好彦、以下、「アステラス製薬」)、ならびにSwiss Tropical and Public Health Institute(以下、「Swiss TPH」)は、国際的な官民パートナーシップ (以下、「PPP」)を新たに創設し、就学前児童における住血吸虫症(別名:ビルハルツ住血吸虫症)に有効な新しいプラジカンテル小児用製剤の開発に乗り出しました。住血吸虫症は寄生虫を原因とする慢性疾患です。世界では、安全な飲料水や適切な衛生状態の確保が困難な発展途上国を中心として、2億人以上の人びとが住血吸虫症に感染し、治療を必要としています。現在の治療は、成人と学齢児童に焦点が当てられていますが、就学前児童もまた多く感染しています。寄生虫症は、適切な治療を受けない場合、貧血や成長阻害、学習能力の減退などを伴う重い病的状態につながり、命にかかわることもあります。この疾患はサハラ砂漠以南のアフリカ地域では、影響力の観点から見ると、マラリアに次ぐ深刻な寄生虫症となっています。

 現在、住血吸虫症に罹患した乳幼児および低年齢の児童には、適切な治療が行われていません。標準的なプラジカンテルによる治療は、成人および6歳以上の児童を対象とした経口の錠剤のみです。更にこれより年齢の低い児童は、錠剤の大きさや有効成分の苦味のため、この錠剤を服用できないことがあります。小児用製剤は、最も脆弱な年齢層に対する適切な治療法を開発するために強く求められており、このことが住血吸虫症に対する初めての国際的なPPPが創設されるきっかけとなりました。このパートナーシップの目的は、低年齢の児童に適したプラジカンテル製剤の開発です。

 TI Pharmaをコーディネーターとする、この新たに作られたコンソーシアムに参加するパートナーは、Merck、アステラス製薬、Swiss TPHです。Merck Seronoのドラッグ・ディベロップメント・アンド・メディカル部長で、Merckの生物医薬品部に所属し、コンソーシアムの会長にも指名されているアンナリーザ・ジェンキンス博士は、「このPPPのパートナーは皆、低年齢の児童の住血吸虫症に対してこの切望される治療をもたらすことに力を注ぎます。このコンソーシアムに注ぎ込まれる資源と専門知識は、最終的に科学および医療の革新を支え、次世代の治療の開発に貢献します。」と述べています。

 Merckは、このプロジェクトに大きな貢献をします。Merckは、成人用のプラジカンテルの錠剤を開発および製造しており、自社の寄付プログラムを通じ、アフリカにおける住血吸虫症との闘いに、世界保健機構(WHO)とともに既に参加しています。Merckは、この小児製剤開発プロジェクトを立ち上げ、自社製品と薬剤開発のノウハウを持ち寄ることで、この取り組みを強化します。

 アステラス製薬は、服用時の利便性と機能性を向上させる同社の画期的な製剤技術を応用することにより、苦みを取り除いた初のプラジカンテル小児用製剤の開発に貢献します。

 Swiss TPH は、執行パートナーのひとつとして、その広範な経験を生かして、寄生蠕虫の生物学的及び薬理学的な研究と、、資源の乏しい環境にある流行地域での薬剤の有用性と有効性に関する臨床研究に貢献します。

 オランダの非営利組織であるTI Pharmaは、この新規のプロジェクトのガバナンスを促進する独立パートナーです。TI Pharmaは、その他の顧みられない熱帯病に関する広範なプログラム(euSEND)を有しています。

 新しい小児用量の望ましいプロファイルを定義するための住血吸虫症の専門家会議が、先日ジュネーブで開催されました。コンソーシアム・チームは執行面および財政面でのギャップがあることから住血吸虫症との闘いに参加する新たなパートナーと追加資金の呼びかけを行ってます。

 すべてのパートナーは、生後3ヶ月で感染した乳児を含む極めて低年齢の児童における住血吸虫症治療の必要性を呼びかけることに高い意義を感じています。新しいプラジカンテル小児用量は、この顧みられない熱帯病のさらなる抑制と将来的な制圧に重要な貢献を果たすことが期待されます。

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