アステラス製薬株式会社(本社:東京、社長:畑中 好彦、以下「アステラス製薬」)は、米国メディベーション社と共同で開発・商業化を進めている経口アンドロゲン受容体阻害剤エンザルタミド(一般名、開発コード:MDV3100)に関し、アンドロゲン受容体陽性トリプルネガティブ進行再発乳がん患者を対象とした、エンザルタミド単剤療法の有用性を検討する第II相臨床試験データ(ステージ1のデータ及びステージ2の一部データ)の、サンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS:San Antonio Breast Cancer Symposium)第37回 年次総会(開催時期:12月9日~13日、開催場所:テキサス州サンアントニオ)における発表内容について、お知らせします。

 データ発表の内容は以下の通りです。

タイトル:MDV3100-11試験(ステージ1)の結果:アンドロゲン受容体陽性のトリプルネガティブ進行再発乳がん患者を対象としたエンザルタミド(アンドロゲン受容体阻害剤)の2つのステージから成る臨床試験(アブストラクト # P5-19-09)
(原題:Stage 1 Results from MDV3100-11: A 2-Stage Study of Enzalutamide (ENZA), an Androgen Receptor (AR) Inhibitor, in Advanced AR+ Triple-Negative Breast Cancer (TNBC) (Abstract # P5-19-09))

 本試験には、免疫組織学的染色でアンドロゲン受容体陽性が認められた患者(ステージ1で42名、ステージ1、2合計で118名)が組み入れられました。主要評価項目は、評価可能な患者集団(アンドロゲン受容体の発現が10%以上、かつ投与後評価あり)における臨床的有用率[Clinical Benefit Rate(以下「CBR」);完全奏効(complete response:CR)、部分奏効(partial response:PR)又は16週以上の安定(stable disease:SD)を示した患者の割合]です。前治療薬の使用歴に関する制限はなく、ステージ1では42名の女性患者が組み入れられ、そのうち26名が評価可能な患者と判断されました。

 本試験の結果は以下の通りです。

ステージ1で評価可能な患者集団26名における、主要評価項目である16週時のCBRは42%(11/26名)であり、このうちPRが1名、CRが測定不能病変を有する1名で認められました。また、24週時のCBRは35%(9/26名)でした。
ステージ1における16週時のCBRは、試験開始前に設定したステージ2を開始する基準を十分に満たしていると判断されました。
ステージ1以降、ステージ2に組み入れられた76名ではこれまでに、CRが1名、PRが3名認められており、両ステージ合計で6名のCR又はPRが認められています(2014年11月10日時点)。ステージ2の全データについては、2015年中を目途に解析を行う予定です。
ステージ1の42名でよくみられた有害事象は、疲労(36%)、悪心(33%)、下痢(21%)、食欲減退(21%)、背部痛(14%)、頭痛(14%)、ほてり(12%)、不眠症(12%)、嘔吐(12%)、疼痛(12%)、便秘(12%)でした。これまでのところ、ステージ2の患者の安全性及び忍容性のプロファイルは、ステージ1でみられたプロファイルと同程度であり、安全性のモニタリングは継続して実施されます。

 アンドロゲン受容体陽性のトリプルネガティブ乳がんは、最近になって特定されたサブタイプであり、アンドロゲン受容体が過剰に発現しています。エンザルタミド単剤療法の有用性を検討する本第II相臨床試験は、アンドロゲン受容体陽性のトリプルネガティブ乳がん患者に対して実施されている臨床試験としては最も規模が大きく、ホルモン療法の客観的腫瘍縮小効果を検討する初めての臨床試験です。

 トリプルネガティブ乳がんは、アンメットメディカルニーズの高い疾患です。現在、トリプルネガティブ乳がんを適応とした既承認薬は存在せず、通常化学療法による治療が行われています。

 本件については、米国において、現地時間12月12日に対外発表しています。

以 上

第II相臨床試験について

 本試験はオープン試験(単群)であり、米国、カナダ及び欧州の施設にて実施しています。本試験は、2013年6月に組み入れを開始、2014年7月に組み入れを終了し、2つのステージで合計118名の患者が組み入れられました。主要評価項目は臨床的有用率[完全奏効(complete response:CR)、部分奏効(partial response:PR)又は16週以上の安定(stable disease:SD)を示した患者の割合]です。また、本試験における投与量及び投与方法は、エンザルタミド160mg 1日1回経口投与です。

メディアからのお問い合わせ
広報
TEL: 03-3244-3201 
受付時間:月曜~木曜日 8:45~17:45、金曜日 8:45~16:00(土日・祝日・会社休日を除く)