アステラス製薬株式会社(本社:東京、社長:畑中 好彦、以下「アステラス製薬」)は、米国メディベーション社と共同で開発・商業化を進めている経口アンドロゲン受容体阻害剤エンザルタミド(一般名、欧米での製品名:XTANDI®、開発コード:MDV3100)に関し、アンドロゲン除去療法が無効となった化学療法施行歴のない転移性前立腺がん患者1,700名以上を対象としたグローバル第III相PREVAIL試験について、独立データモニタリング委員会(IDMC:Independent Data Monitoring Committee)は計画していた中間解析を実施し、良好な結果が報告されましたので、お知らせします。主要評価項目である全生存期間と画像診断による無増悪生存期間において認められたエンザルタミドの臨床的有用性、また安全性プロファイルから、IDMCは、良好なベネフィット・リスクが示されたとの結論を下しました。また、IDMCは、試験を早期終了し、プラセボ群の患者にエンザルタミドによる治療を提案するように勧告しました。安全性データを含む詳細な試験結果は、今後、学会にて発表する予定です。

 IDMCの報告によると、中間解析結果は以下の通りです。

エンザルタミド群では、プラセボ群と比較して統計学的に有意な全生存期間の延長が認められました。エンザルタミド群は、プラセボ群と比較し、死亡のリスクを30%低下させました(ハザード比=0.70;p<0.0001;95%信頼区間 0.59-0.83)。
エンザルタミド群では、プラセボ群と比較して統計学的に有意な画像診断による無増悪生存期間の延長が認められました。エンザルタミド群は、プラセボ群と比較し、画像診断による増悪又は死亡のリスクを81%低下させました(ハザード比=0.19;p<0.0001;95%信頼区間 0.15-0.23)。
中間解析実施時点における生存率は、プラセボ群の65%に対して、エンザルタミド群では72%でした。中間解析実施時点で点推定値として算出された全生存期間の中央値は、プラセボ群の30.2か月(95%信頼区間 28.0か月-NR)に対して、エンザルタミド群では32.4か月(95%信頼区間 31.5か月-NR)でした。なお、多数の患者が生存している時点で試験が早期終了されるため、算出された全生存期間の中央値は、ハザード比ほど的確な値ではないと考えられます。ハザード比は、全ての患者から得られた情報を用いて算出される値である一方で、全生存期間の中央値は、ある時点における、より少数例での情報から算出された点推定値になります。
画像診断による無増悪生存期間の中央値は、プラセボ群では3.9か月(95%信頼区間 3.7-5.4か月)でしたが、エンザルタミド群ではこの中央値にまだ達していません(95%信頼区間 13.8か月-NR)。
全生存期間の臨床的有用性と本試験でみられた安全性プロファイルを総合的に勘案した結果、IDMCはエンザルタミド群では良好なベネフィット・リスクが示されたとし、試験を早期終了し、プラセボ群の患者にエンザルタミドによる治療を提案するように勧告しました。

 なお、盲検下のPREVAIL試験において、治験薬を投与された全1,715名の患者のうち、2名で痙攣発作が発現しました。安全性データの詳細な解析は、データベースを固定し盲検化を解除した後に実施される予定です。

 アステラス製薬とメディベーション社は、2014年初頭から規制当局との協議と承認申請を開始していきます。

 アステラス製薬は、今回の試験結果が、がん領域においてグローバル・カテゴリー・リーダーを目指す当社にとって重要なステップであると考えており、今後、化学療法施行歴のない転移性前立腺がんに対する新たな治療選択肢を提供できることを期待しています。

 

以 上

PREVAIL試験について
 PREVAIL試験は国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験で、米国、カナダ、欧州、オーストラリア、ロシア、イスラエル、及び日本を含むアジア諸国の施設において、アンドロゲン除去療法が無効となった化学療法施行歴のない転移性前立腺がん患者1,700名以上を組み入れました。試験の主要評価項目は、全生存期間と画像診断による無増悪生存期間です。エンザルタミド(160 mgを1日1回投与)を標準治療に追加した群と、プラセボを標準治療に追加した群の2群で比較しました。患者組み入れは2012年5月に完了し、既定していた516例のイベント(死亡例)発現後に、中間解析を実施しました。

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