アステラス製薬株式会社(本社:東京、社長:畑中 好彦、以下「アステラス製薬」)は、慈善団体フィスチュラ(Fistula)基金に3年間で総額150万ユーロの資金提供を行い、フィスチュラ基金が実施する画期的プログラム「Action on Fistula」を支援することを決定しましたので、お知らせします。この「Action on Fistula」は、今後3年間で、ケニアにおいて産科フィスチュラに苦しむ1,200人以上の女性の生活を大きく改善することを目的としています。なお、資金は、アステラスグループの欧州・中東・アフリカ事業を担うアステラスファーマ ヨーロッパLtd.が提供します。

 150万ユーロの資金提供により、フィスチュラ基金のパートナーである世界産婦人科連合会(FIGO)の能力増強研修プログラム(Competency Based Training Programme)をケニアで実施し、フィスチュラ担当外科医数を倍増し、手術実施数を大幅に増加します。また、ケニアにフィスチュラ治療ネットワークを創設し、地域の医療従事者とともに大規模啓蒙プログラムを展開して患者を特定し、治療を受けるよう働きかけます。

 産科フィスチュラは、救急医療を利用できない状況下での長期にわたる分娩停止によって誘発される膣と直腸または膀胱との間に形成される瘻孔であり、大便失禁や尿失禁を誘発します。先進国では実質的に根絶されていますが、開発途上国においては、適切な分娩介入を行うための医療にアクセスできない、或いは、身体的に未成熟な状態で出産する女性が多いため、未だ数多く見られる疾患です。国連人口基金(UNFPA)の試算によると、ケニアでは年間3,000例の産科フィスチュラの新規症例がみられ、分娩1,000例につき産科フィスチュラが約1~2例発症しているとされています。産科フィスチュラは治療を行わないと、潰瘍や腎疾患、脚部の神経損傷などの慢性的な医学的問題を誘発する場合もあります。

 また産科フィスチュラ患者は、異臭が絶えないことによる深刻な差別に悩まされ、家族や友人、隣人から距離を置かれることも少なくありません。このような女性は、教育や雇用の機会から遠ざけられて孤立と貧困の中で生きることを強いられる場合もあります。このように産科フィスチュラ患者が社会から疎外される状況は人権問題でもあり、今回のアステラスの支援がこれを解決する一助になると期待しています。

 アステラス製薬は、保健医療へのアクセス問題に対して、国内有数の学術・研究機関と進めている抗寄生原虫薬や抗デングウイルス薬の創薬共同研究、並びに住血吸虫症感染症治療薬プラジカンテルに対する世界初の小児用製剤開発を始めとする各種取り組みを通じて、世界で顧みられない熱帯病によって苦しむ患者さんのために早期に治療薬が生み出されるよう努めています。今回の産科フィスチュラ治療への支援も、アステラス製薬が進める保健医療へのアクセス問題の改善に対する取り組みの一環です。

 アステラスファーマ ヨーロッパLtd.の社長兼CEOのKen Jonesは、以下のように述べています。

 「『Action on Fistula』は、アステラス製薬の重点疾患領域である泌尿器領域における未充足医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)解消に向けての重要な取り組みです。産科フィスチュラは高所得の国々では実質的に根絶されていますが、いまだにサハラ砂漠以南のアフリカを中心として世界で100万人の女性が罹患しています。

 アステラスファーマ ヨーロッパLtd.がフィスチュラ基金に資金を提供することにより、この深刻な症状をもたらす産科フィスチュラに罹患した患者さんが、より多く治療を受けられるよう支援したいと考えています。また、外科手術のトレーニングを通じた能力開発により、高い技術を持った外科医の数を増やすことで、将来的により多くの女性が治療を受けられることになる点も、このプログラムの意義深いところです」

 フィスチュラ基金CEOのKate Grantは、以下のように述べています。

 「ケニアではフィスチュラ治療に対する膨大なニーズがあり、フィスチュラ基金だけではこの困難に立ち向かうことはできません。アステラスファーマ ヨーロッパLtd.とともに、この国でこの症状に苦しむ女性を救う事業に取り組めることを喜ばしく思います。

 『Action on Fistula』プログラムは、治療を必要とする女性に対して重要な治療を提供し、幸福で満足できる人生を送れるようにするものです。またこのサポートによって、高いクオリティの手術手技を習得するための研修の機会を、より多くの外科医に提供することができ、将来的により多くの女性が治療を受けることを可能にするものです」

 世界規模の「Campaign to End Fistula」を主導しているUNFPAのSexual and Reproductive Health BranchチーフであるDr. Laura Laskiは、以下のように述べています。

 「フィスチュラ基金とアステラスファーマ ヨーロッパLtd.のパートナーシップは、ケニアにおける最初の例であり、産科フィスチュラに苦しむ多くの未治療の女性を発見して治療するために企業、NGO、市民が手を組むためのロードマップとなる可能性のあるものです」

このプログラムに関する詳細な情報に関しては、以下をご参照ください:

www.astellas.eu/action-on-fistula

参考文献

1. 国連人口基金、Direct Relief、フィスチュラ基金グローバル治療マップ:
http://www.globalfistulamap.org/

2. フィスチュラ基金、Fast FactsおよびFAQ:

http://www.fistulafoundation.org/what-is-fistula/fast-facts-faq/

フィスチュラ基金について

フィスチュラ基金は、世界中の女性が子供を持とうとしただけで孤立した悲劇的な人生を強いられるべきではないとの信念のもと、産科フィスチュラの治療に取り組んでいます。フィスチュラ基金は、19の国の38施設を拠点とする地域パートナーに出資しており、政府の出資を受けていない他のどの非営利組織よりも多くの世界中のフィスチュラ修復手術に出資しています。フィスチュラ基金はシリコンバレーの中心地であるカリフォルニア州サンノゼに拠点を置き、Charity Navigatorより8期連続で4つ星の評価を受けています。この評価を受けている慈善団体は全体の1パーセントに限られています。

世界産婦人科連合会(FIGO)について

世界産婦人科連合会(FIGO)は、女性の福祉の推進と、産科および婦人科の医療の水準向上を目的として設立された組織で、125の国と地域が加盟しています。 

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