アステラス製薬株式会社(本社:東京、社長:畑中 好彦、以下「アステラス製薬」)は、Harvard Medical School(所在地:米国マサチューセッツ州ボストン)と、網膜色素変性症に対する遺伝子治療も視野に入れた新規治療法の確立を目指し、病態関連遺伝子の同定と検証を目的とした共同研究契約を締結しましたので、お知らせします。

 網膜色素変性症は、進行性の夜盲、視野狭窄、視力低下を主徴とし、やがて色覚の喪失、失明に至る、遺伝子変異に起因する網膜変性疾患です。網膜変性に至る機序については、未だ十分に解明されておらず、臨床的に明確な効果を示す治療法は確立されていません。

 今回、アステラス製薬とHarvard Medical Schoolは、網膜色素変性症の病態メカニズムを解明し,新たな治療標的を同定することにより、良好な視覚機能を維持することが難しい網膜色素変性症の患者さんに、新たな治療選択肢の提供を目指します。

 本共同研究は、眼科領域おける遺伝子治療の世界的な権威であるHarvard Medical SchoolのConstance L. Cepko, Ph. D.が主導し、アデノ随伴ウィルスベクターを用いて網膜色素変性症の治療につながる遺伝子の同定と検証を行います。共同研究の期間は最長3年間で、本共同研究の結果、有望な治療につながる遺伝子が同定された場合、アステラス製薬は、当該標的遺伝子に関する独占的ライセンスに基づき治療薬の研究・開発及び商業化を行います。

 アステラス製薬の上席執行役員・経営戦略担当である安川 健司は、次のように述べています。「アステラス製薬は、新薬創出力を一層強化するため、外部機関との連携を図りながら新たな疾患領域、創薬基盤技術にも挑戦し、アンメット・メディカル・ニーズを満たす新規の創薬機会の探索を進めています。今回のHarvard Medical Schoolとの提携は、その一環になります。本提携により、創薬研究を進めることで、網膜色素変性症に苦しむ患者さんに“光”を届けられることを期待しています。」

 本共同研究を主導するConstance L. Cepko, PhDは、次のように述べています。「本共同研究の成果が、家族性の遺伝子変異によらず、網膜色素変性症の患者さんの色覚機能や視覚機能を維持できる治療につながり、更には、様々な眼科疾患を患う患者さんに新たな治療の選択肢を提供できることを願っています。」

 本提携は、アステラス製薬のイノベーションマネジメント部(通称:AIM)が主導しています。AIMは、前臨床段階における外部イノベーション機会の探索・獲得活動を一層強化・加速するため、2013年10月に新たに設置されました。AIMは、前臨床段階における戦略的な外部提携活動を統括し、外部イノベーションの機会獲得に関する戦略策定、探索、科学性評価、提携交渉などの一連の活動を一気通貫して担い、外部提携活動を戦略的かつ体系的に行っています。

以上

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