気候変動はその緩和と適応に国、自治体、企業、市民などあらゆる主体の積極的な参加が求められています。アステラスは、気候変動が持続可能な企業活動の制限要因になると認識し、経営の最重要課題のひとつに位置づけて取り組んでいます。

2016年パリ協定の「2℃目標」達成に向け、国だけではなく企業にも「2℃目標」の取り組みを促す国際的なイニシアチブ Science Based Targets (SBT, 科学的知見と整合した削減目標)が推奨する削減目標設定手法を採用し、新たな行動計画を策定しました。
また、気候変動が事業に及ぼすリスクと機会にも着目し、中長期的な視点を持ち、取り組みを推進していきます。

環境行動計画(気候変動対策)

温室効果ガスの排出量(スコープ1+2)を2030年度までに30%削減する(基準年:2015年度)
 

 

GHG排出量の推移 

アステラスの2017年度のGHG排出量は、207千トン(スコープ1:87千トン、スコープ2:119千トン)でした。

エリア別GHG排出量の推移

(単位:トン)

  2015年度 構成比
(%)
2016年度 構成比
(%)
2017年度 構成比
(%)
日本 166,857 75 166,644 77 162,680 79
スコープ1 61,036   62,160   60,804  
スコープ2 105,821   104,484   101,875  
米州 31,837 14 26,702 12 23,668 11
スコープ1 21,329   15,996   12,805  
スコープ2 10,508   10,707   10,863  
EMEA 19,969 9 19,913 9 16,759 8
スコープ1 16,093   16,368   13,803  
スコープ2 3,877   3,545   2,955  
アジア・オセアニア 4,080 2 3,861 2 3,823 2
スコープ1 41   23   17  
スコープ2 4,039   3,837   3,807  
合計 222,744   217,120   206,929  
スコープ1 98,500 - 94,547 - 87,429 -
スコープ2 124,244   122,573   119,500  

 

スコープ2の削減に向けて

電力といった外部からのエネルギー供給に伴う間接排出量の削減に向け、アステラスでは実際に供給を受ける電力会社ごとの排出係数を用いて算出する「マーケットベース手法」を採用しています。
電力会社ごとの排出係数の採用が困難な地域の排出量は、国際エネルギー機関が発行する「CO2 EMISSIONS FROM FUEL COMBUSTION 2017 EDITION」を用いて算出しています。
ヨーロッパ地域の工場などでは、再生可能エネルギー由来の電力を購入しています。

温室効果ガス排出削減に向けた取り組み

GHG排出量の削減には、中期的にグループ全体で取り組むマネジメントが必要です。地域ごとにことなる慣習や考え方を乗り越え、生産部門や研究部門、営業部門、オフィス部門で気候変動の緩和に向けたさまざまな取り組みを行っています。
ハード面では、高効率機器の導入や燃料転換などにより大きな効果が期待できます。ソフト面では、日々の活動のなかでの工夫や社員全員の参加による省エネルギー活動も大切な取り組みです。各事業所では、これらハード面・ソフト面の取り組みを進めています。

気候変動対策の推進体制と取り組み

アステラスでは、気候変動対策を含めたさまざまな環境課題への対応を議論するため、CSR委員会の専門部会として「Global EHS Sub-Committee(グローバル環境・安全衛生分科会)」を設置しています。グループ全体での省エネルギーやGHG排出削減の実現に向けた手法の検討などを、各地域拠点からのメンバーが参加し議論しています。
Global EHS Sub-Committeeで議論・決定された事項は、CSR委員会にてトップ・マネジメントへ報告されます。

気候変動が事業に及ぼすリスクと機会の分析

国際的な政策動向や排出量取引制度などによる外部環境の変化、気候変化に起因する物理的変化による操業への影響、また気候変動の緩和と適応に向けた対応に関するステークホルダーからの評価などについて、シナリオ分析を実施しています。想定されるリスクを理解し、リスクの最小化に向けた中長期的な対策を進めることが、事業が持続可能なものとなる機会につながると考えています。

気候変動対策投資計画

2017年度は、事業所の省エネルギー対策とは別に、グローバル環境安全分科会の施策として、バイオマスボイラーの導入検討や運転管理効率化など約1.1億円程度の投資を計画し、実際に0.68億円の投資を行い、GHG削減効果として367トンとなりました。
バイオマスボイラーの導入については、費用対効果などの課題があるものの、継続検討を行うこととしています。

サプライチェーンでの温室効果ガス排出量の把握

気候変動に関する環境行動計画は自社の事業活動による排出(スコープ1、2)を対象にしていますが、アステラスは、サプライチェーン全体での排出(スコープ3)の把握にも努めています。スコープ3の重要な排出源からのGHG排出についてもSBTを設定し、その削減に取り組んでいます。 スコープ3の詳細は、間接的な関わりによるGHG排出(スコープ3)に掲載しています。

気体燃料の優先的な利用

アステラスの研究および生産拠点では、燃焼時に発生するGHGが少ない都市ガスやLPG、LNG(液化天然ガス)を燃料としたボイラーを使用しています。GHG排出削減のほか、大気汚染物質であるSOxの削減にも貢献しています。

エネルギー監視システムの導入

エネルギーの使用状況を細かく把握することは、新たな施策立案に有用です。「見える化」を実現するエネルギー監視システムを、各事業所に導入しています。

営業活動によるGHG排出低減 

アステラスは、2008年度から営業用車両の利用に伴うGHG排出量の削減に取り組んでいます。各地域で、環境負荷の小さな車両(例:ハイブリッド車)への切り替えを継続的に進めています。ハイブリッド車の導入率が高い日本では、車両台数に対するGHG排出量が他の地域よりも抑制されています。 営業車の利用に伴うGHG排出量は、スコープ1として報告しています。

営業活動によるGHG排出量の推移

(単位:トン)

  2015年度 2016年度 2017年度
各地域の合計 28,725 27,287 24,203
日本 5,276 4,733 4,316
米州 12,199 10,782 10,760
EMEA 11,250 11,772 9,127

実燃料使用量を把握できない場合は、走行距離と燃費(カタログ値)から推計しています。

 

再生可能エネルギーの利用 

再生可能エネルギーの利用は、最も有効な気候変動対策の一つです。アステラスは、太陽光や風力、バイオマスボイラーなどの設備を事業所に積極的に導入し、発生したエネルギーは全量を事業所で消費しています。
また、再生可能エネルギー由来の電気、カーボンニュートラルな都市ガスの購入により、間接的にGHG排出を抑制しています。

再生可能エネルギーの利用状況(2017年度)

事業所 再生可能エネルギーの種類 エネルギー量
ケリー工場 風力発電(出力800kW) 1,692 MWh
木質バイオマスボイラー利用(出力1.8MW) 37,211 GJ
再生可能エネルギー由来の電気の購入 6,650 MWh
ダブリン工場 再生可能エネルギー由来の電気の購入 5,855 MWh
メッペル工場 再生可能エネルギー由来の電気の購入 12,896 MWh
ライデン 再生可能エネルギー由来の電気の購入 2,305 MWh
カーボンニュートラルな都市ガスの購入 146 千m³
地中熱利用 1,491 GJ
アメリカ本社 地中熱利用 3 GJ
つくば研究センター 太陽光発電 49 MWh
焼津事業所 地中熱利用(計測できず) -

 

経団連「低炭素社会実行計画」への参画

アステラスは、経団連の要請に基づいて日本製薬団体連合会(日薬連)が策定した「低炭素社会実行計画 *」に参加しています。 

*2020年度の製薬企業の二酸化炭素排出量を、2005年度排出量を基準に23%削減する