重要課題の特定と優先順位付け

アステラスでは、CSR活動における重要課題を特定・優先順位付けし、CSR経営を実践するうえでの指針としています。
重要課題は、各種原則やガイドラインを参考にしながら、事業活動の前提として取り組むべき課題や、医療・健康に関するグローバル課題などの社会課題の中から特定しました。
特定した重要課題は、「社会にとっての重要性」と「アステラスの事業との関連性」の観点からそれぞれ3段階に分類し、優先順位を付けました(CSRマテリアリティ・マトリックス)。その際、ステークホルダーの皆さまからの期待や要請も考慮しました。さらに、重点的に実行すべき具体的な活動計画を立て、重要課題に取り組んでいます。

CSRマテリアリティ・マトリックスの更新

2018年3月期には、社会からの要請事項の変化に対応するため、CSRマテリアリティ・マトリックスを全面的に見直しました。見直しにあたっては、国内外の多様なステークホルダー(投資家・患者団体・医師・従業員・コンサルタント・アカデミア)との対話を実施し、さまざまな視点から検討を行い、CSR委員会*、エグゼクティブ・コミッティ(EC)および取締役会での審議・承認を経てCSRマテリアリティ・マトリックスの更新を決定しました。

今回の更新では、社会からの要請に応えるべく、「税コンプライアンス」「医薬品が環境へ与える影響」を新たに追加しました。また、重要性の高まりを踏まえ、「顧客満足」「個人情報・秘密情報の保護」を右上の象限に移動しました。各重要課題を適切に表現するため、一部名称の変更、統合を行いました。

マテリアリティの設定プロセス

ステップ1

課題の特定
各種原則やガイドライン(ISO26000、グローバル・コンパクトの10原則、SASB*が策定したヘルスケア産業のマテリアリティ・マップ等)、ステークホルダーとのコミュニケーション、社会的責任投資(SRI)の評価項目などを参考に、アステラスが取り組むべき社会課題を特定します。
* SASB:サステナビリティ会計基準審議会。業種別の持続可能性に関する情報の開示基準を検討している米国の非営利団体。業界別にマテリアリティ・マップを作成し、持続可能性に関する要因の重要性を評価。

ステップ2

優先順位付け
「社会にとっての重要性」と「アステラスの事業との関連性」の2つの観点から、特定した社会課題に優先順位を付けます。

ステップ3

レビュー
 ● ステークホルダーとの対話
 ● CSR委員会、ECおよび取締役会での審議と承認

取り組みの進捗状況や社会の変化などを踏まえ、課題設定の妥当性を検証し、必要に応じた見直しを行います。今回の見直しでは、国内外のステークホルダーとの対話を通じて検討し、CSR委員会、ECおよび取締役会での審議・承認を経てCSRマテリアリティ・マトリックスの更新を決定しました。

CSRマテリアリティ・マトリックス

 

重要課題の定義

重要課題 定義
革新的な製品と医療ソリューションの創出 満たされていない医療ニーズに応える革新的な医薬品および医療ソリューションを持続的に創出し続けること。
責任ある研究開発 研究開発すべての段階において倫理的配慮を行い、国際的および/あるいは各国ガイドラインへの遵守しながら研究開発を行うこと。動物実験や臨床試験における倫理的配慮を含む。
責任あるマーケティングと倫理的広告 各国法およびガイドラインに従い、公正かつ適切なマーケティング・広告活動が実施されていること。また消費者への疾病や予防に関する意識啓発のための情報発信を通じ人々の健康に貢献すること。
製品の価格設定 イノベーションの促進と保健医療へのアクセスとのバランスを取りながら、製品の価値を反映した価格設定を行うこと。
製品の適正使用 患者さんの安全性および製品の有効性を確保するため、医療関係者及び患者による製品の適正使用を促進するための取り組むこと。また障がいを持つ使用者を含め使用者にとって利便性の高いパッケージデザインの検討を行うこと。
製品の品質保証と安全性 自社が供給する製品の品質を保証すること。および機能的・強固なファーマコヴィジランス*機能を構築すること。
*ファーマコビジランス:製品の安全性情報を監視すること。
偽造医薬品問題への対応 偽造医薬品・不正流通を防ぐための取り組みを行うこと。
ダイバーシティ&インクルージョン 人種・国籍・性別・性的指向・年齢・障がいなどの有無に関係なく、機会均等かつ公正な雇用を実現すること。
法令遵守と高い倫理観を持った事業活動 法令遵守のみならず、常に誠実さをもって行動し、業務のいかなる場面でも倫理的に適切な判断を行うこと。また、体制整備や規程の策定・浸透・意識向上を通じて、社員の倫理的な行動を推進すること。贈収賄・腐敗行為の防止、利益相反行為の禁止に関する取り組みに加え、社員が率直に話せる文化を醸成し、誠実さと倫理的な行動を実現できるようにすること。
保健医療へのアクセス 社会的利益追求型の研究開発、入手可能性の向上、保健システムの強化、健康に関する理解の向上を通じて、世界中の人々に必要な医療を届けること。
個人情報・秘密情報の保護 事業を行う中で得られる秘密情報やステークホルダーの個人情報を、関連法規や規程に沿って適切に取り扱うこと。治験で入手するデータの管理等を含む。
従業員の健康・安全・福祉 従業員の心身の健康、職場の安全性の確保。従業員及び家族に対する福祉の充実を図ること。
顧客満足 顧客(患者さんや医療従事者を含む)のニーズと期待を満たすこと。顧客の苦情や相談に対して適切に対処するための体制構築と手順の運用を含む。
取締役会の独立性と実効性 東証および当社が制定した独立性基準に基づき社外取締役の独立性を確保すること。また取締役会の実効性に関する分析・評価等によりその機能を向上させること。
人材育成 従業員の意志・能力・適正を尊重したキャリア形成機会を提供すること。
従業員の採用・定着 優秀な人材が採用され定着すること。
公正な評価と競争力のある報酬 従業員に対して役割と成果に基づく公正な評価と適切な報酬を提供すること。
CSR調達 法令順守や人権尊重などCSR*観点を盛り込んだサプライヤー選定基準に基づきサプライヤーの選定を行うこと。また調達行動を通じて、不適切なサプライヤーに対し指導やキャパシティビルディングの支援を行うこと。
*CSR: Corporate Social Responsibility (企業の社会的責任)
安定供給 製品を安定的に供給すること。
ステークホルダーに対するエンゲージメント 社会からの期待・要求を理解するために患者さんや株主を含めマルチステークホルダーとの双方向の対話を行い、得られた意見を事業活動や意思決定プロセスに反映させること。
事業活動の透明性 法令の有無に関わらず、全てのステークホルダーに対して適時適切かつ公平に情報を開示し、事業の透明性を高めること。例えば、研究開発で得られたデータの開示、取締役会の体制に関する開示、役員報酬の開示、リスクマネジメント体制とそのリスクに関する開示など。
税コンプライアンス 事業を行っている各国の税法に準拠し、適正な納税に努めること。
労働者の人権 従業員およびビジネスパートナーの人権を尊重すること。差別の撤廃、結社の自由・団体交渉権の保証、児童労働・強制労働の排除を含む。
環境負荷の低減 事業活動による環境負荷を最小限に低減すること。大気汚染防止、資源循環、化学物質管理を含む。
医薬品が環境へ与える影響 医薬品の製造から廃棄までのライフサイクルにおいて、医薬品が環境へ与える影響を把握・管理すること。医薬品が生産施設からの排水、本来の目的による使用や、未使用の医薬品として廃棄されることにともない環境中に排出された際には、生態系に影響を及ぼす可能性がある。
患者支援とアドボカシー 患者団体への慈善目的の支援やアドボカシー活動*を実施すること。患者団体活動への財政的支援、 研修の開催による患者同士の知識や情報の共有、 イベント運営等を通じた疾患啓発、患者さんの権利擁護や代弁などを含む。
*アドボカシー活動:政策提言を通じて公共政策や社会の変化を促す活動
医学発展への貢献 医学の発展に貢献する医療や科学の研究を支援すること。
水の管理 水の使用量削減、再利用、循環利用によって、水資源を効率的に使用すること。
気候変動とエネルギー エネルギーの効率使用を通じ、事業活動による温室効果ガスの排出を削減すること。
生物多様性 生物多様性に及ぼす負の影響を低減し、生物多様性がもたらす恩恵の持続可能な利用を推進すること。
慈善目的の地域貢献 操業する地域の地域社会へ支援すること。例えば、緊急災害支援や社員によるボランティア活動の支援、次世代育成などの社会貢献。

 

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