聴覚再生


聴力は、日常生活において家族・友人・同僚らとのコミュニケーションに重要な役割を果たしておりQuality of Lifeに多大な影響を与えます。高齢化社会やポータブルオーディオデバイスの普及による難聴人口の増加が予想されることや、難聴によって社会とのつながりが困難になること、聴覚と中枢神経疾患との関連を示唆するエビデンスの蓄積などにより聴力障害に関する関心が増していますが、難聴に対する根本的な治療薬は現在存在しません。

アステラスが有する再生医療に関する基盤技術を生かすことで、本来の聴力そのものを取り戻すというアプローチをしています。聴力の改善のみならず、それに伴うウェルビーイングな社会の実現にインパクトを与えうると考えています。

「聴覚再生」では、以下の臨床試験段階にあるプログラムに取り組んでいます。

  • FX-322 (有毛細胞の前駆細胞活性化、感音難聴適応、Phase 2)
  • ASP0598 (遺伝子組換えヒトヘパリン結合性EGF様増殖因子、慢性鼓膜穿孔適応、Phase 1)

【アセット、ケイパビリティ】

  • 前臨床ならびにトランスレーショナルサイエンスのユニークな基盤技術をもとに、複数のプログラムを効率よく生み出しています。
  • 独自性の高い製剤技術によって耳への局所ドラッグデリバリーを可能とする製剤研究を行っています。
  • 複数の臨床プログラムを持ち、最先端の臨床試験を実施しています。
  • トップクラスの研究者や臨床医とのネットワークを築いています。


以下「聴覚再生」のサマリーも併せて、ご確認ください。

 

アステラスが外部パートナーに期待するアセットおよびケイパビリティ

  • 内耳有毛細胞を再生させる薬剤(リード薬剤が同定されていることが望ましい)/技術、リボンシナプスを活性化させる薬剤(リード薬剤が同定されていることが望ましい)/技術、血管条機能を賦活化させる薬剤(リード薬剤が同定されていることが望ましい)/技術。
  • 内耳に低分子・核酸・遺伝子治療ベクターを特異的にデリバリーする技術、薬物治療と組み合わせたヒアラブルデバイスや診断のヒアラブルデバイス。
  • トランスレーショナルサイエンスの観点からヒトの感音難聴における薬効予測を可能にする基盤技術/前臨床モデル。


 

オートファジー


多くの疾患は、細胞機能を損なう不完全・不要なタンパク質が蓄積されることで引き起こされると考えられています。

オートファジーは、これらのタンパク質を細胞から除去するための重要な、いわば品質管理プロセスの仕組みとして知られており、オートファジーの機能促進は機能不全タンパク質の蓄積を特徴とする幅広い疾患に対処する直接的な方法となります。適応可能な疾患として期待されているのが、神経変性疾患、リソソーム蓄積障害、腎疾患、感染性疾患、HIV、および特定のがん種、さらには一部の精神疾患です。

アステラスはオートファジーの生化学と細胞生物学の専門知識を活用することにより、効果的な治療手段のない疾患の患者に対して新規かつ安全で効果的な治療法を提供したいと考えています。
 

アステラスが外部パートナーに期待するアセットおよびケイパビリティ

  • オートファジーを制御する新しいメカニズムや標的分子
  • 上記の標的やメカニズムを制御しうる低分子
  • オートファジーを制御する薬剤のスクリーニング技術や新規の評価系


 

二重特異性免疫細胞誘導抗体


二重特異性免疫細胞誘導は、目的とする2つの細胞のそれぞれの表面で発現する抗原に対する2つの抗体を結合させた二重特異性抗体を介して、その2つの細胞を引き合わせるアプローチとして知られています。特に、がん細胞表面で発現する標的抗原に対する抗体とT細胞の活性化能を有する抗体を結合させた二重特異性抗体を介して、標的がん細胞のそばにT細胞を引き寄せ、T細胞によってがん細胞を効果的に除去する手法は注目を集めています。

これらの技術を駆使することにより、これまでの抗体技術では達成できないような高い特異性やユニークな制御を実現できるため、がん以外の疾患でも創薬の可能性が大きく広がると期待されています。

アステラスは、二重特異性免疫細胞誘導のアプローチとこれまでに培った抗体創薬技術を組み合わせることによって、効果的な治療手段のない疾患の患者さんに対して、新しい治療選択肢を提供したいと考えています。
 

アステラスが外部パートナーに期待するアセットおよびケイパビリティ

  • 組織特異的な薬剤送達の標的として応用可能な表面抗原やそのスクリーニング技術
  • 標的となる抗原やタンパク質を環境特異的に認識させる技術
  • 特徴的な免疫制御を可能とする多重特異性抗体等の革新的技術
  • がん以外の疾患に適用可能な上記の技術

*がんへの二重特異性免疫細胞誘導のアプローチに関しては、Primary Focusがん免疫にてパートナリングを募集しております。
https://www.astellas.com/jp/ja/partnering/primary-focus

 

ダイレクトリプログラミング(分化転換)


ダイレクトリプログラミングは、多能性幹細胞を介さずに細胞の運命を直接変換するバイオロジーであり、生体内でダイレクトリプログラミングを可能にする技術は、新たな再生医療技術として注目を集めています。ダイレクトリプログラミングはこれまでの治療とは違い、不要な細胞を除去する、もしくは必要な細胞を補充するだけでなく、不要な細胞を必要な細胞に変換することが可能になるため、これまで治療や治癒ができないと考えられてきた難治性疾患に対しても高い有効性を示すことが期待されています。

生体内で目的の細胞をつくりだす薬剤を見いだすことができれば、既知の薬剤では達成できなかった効果はもとより、細胞治療で課題となっている免疫排除や腫瘍化のリスクを回避することにもつながることが期待されます。

アステラスは、ダイレクトリプログラミングという新しいサイエンスにおいて、これまでに培った遺伝子治療や細胞治療のノウハウを活用することにより、アンメットメディカルニーズの高い難治性の疾患に対して有効性が期待できる製品の創出を行い、新たな治療選択肢を提供したいと考えています。
 

アステラスが外部パートナーに期待するアセットおよびケイパビリティ

  • 生体内で目的の細胞へのダイレクトリプログラミングを誘導する因子。
  • 上記のダイレクトリプログラミングを制御できるウイルスベクター、非ウイルスベクターや低分子
  • 上記のダイレクトリプログラミングを実現するための薬剤送達技術


 

人工バクテリオファージ


バクテリオファージは、標的細菌に対して特異的に感染する自然界のウイルスであり、ウイルス元来の性質である殺菌性を利用して生体から細菌を除去することを目指したファージセラピーに応用されています。近年の遺伝子改変技術の進歩によって、有用性と安全性を高めた人工バクテリオファージの研究が進展しつつあり、次世代ファージセラピー技術は注目を集めています。

次世代ファージセラピー技術は、既存の感染症に対する治療のみならず、難治性細菌感染症の新たな治療や、公衆衛生上の脅威である薬剤耐性の問題解決にも役立つことも期待されます。

アステラスは、次世代ファージセラピーという新しいテクノロジーにおいて、これまでに培った感染症領域でのノウハウを活用することにより、アンメットメディカルニーズの高い感染症やマイクロバイオーム関連疾患に対して明確な有効性が期待できる製品の創出を行い、新たな治療選択肢を提供したいと考えています。
 

アステラスが外部パートナーに期待するアセットおよびケイパビリティ

  • マイクロバイオーム関連疾患の治療における新規創薬標的としての病原性細菌の情報
  • マイクロバイオーム関連疾患の動物評価モデル
  • バクテリオファージのゲノム編集や改変技術
  • ファージセラピーに応用できるユニークなバクテリオファージのライブラリー


 

自然免疫 (自然リンパ球)


自然リンパ球(ILCs: Innate Lymphoid Cells)は、新しく発見された免疫系の細胞として注目を集めています。他の免疫細胞に比べてILCsはエフェクター機能に優れており、多量のサイトカインを産生し炎症を引き起こすことが知られています。その一方で免疫寛容を誘導する機能があることも知られています。

ILCsの機能を制御する薬剤を見いだすことができれば、既知の免疫細胞を標的としたこれまでの免疫制御では達成できなかった効果はもとより、免疫抑制薬を使用した際にみられる副作用の回避にもつながることが期待されます。

アステラスは、ILCsという新しいバイオロジーにおいて、これまでに培った免疫領域でのノウハウを活用することにより、アンメットメディカルニーズの高い自己免疫疾患、アレルギー疾患、がん等に対して高い有効性が期待できる製品の創出を行い、新たな治療選択肢を提供したいと考えています。
 

アステラスが外部パートナーに期待するアセットおよびケイパビリティ

  • ILCs制御機能を持った新しいメカニズムや標的分子。具体的な機能としてはILCsの選択的な活性化制御、ILCsを介した免疫寛容誘導、ILCs分化制御、ILCs可塑性制御等
  • 上記の標的やメカニズムを制御しうる抗体や低分子等


 

自然免疫(ミクログリア)


ミクログリアは脳や脊髄における唯一の免疫担当細胞であり、死んだ細胞や老廃物の除去および神経回路を保護することで脳の機能を正常に保つ役割を果たしています。神経障害やストレス、不眠、感染、老化などによりミクログリアが過剰に活性化すると、脳内に炎症を誘発し、神経変性疾患や精神疾患、自己免疫疾患といった様々な神経免疫疾患の発症や増悪を引き起こします。

近年、中枢および末梢神経機能における自然免疫細胞の役割が注目を集めているなか、特にミクログリアの機能調節は神経変性疾患から自己免疫疾患まで幅広い神経炎症の関わる疾患に対して、新たな治療効果をもたらすことが期待されています。

ミクログリアの機能を制御する薬剤を見いだすことができれば、神経細胞を直接標的としたこれまでの神経機能制御では達成できなかった治療効果はもとより、神経に直接作用する薬剤でよくみられる副作用を回避することにも繋がることが期待されます。

アステラスは、ミクログリアに関する専門知識と、これまでに培った中枢神経と免疫炎症領域でのノウハウを活用することにより、アンメットメディカルニーズの高い神経変性疾患や精神疾患、自己免疫疾患等に対して高い有効性が期待できる製品の創出を行い、新たな治療選択肢を提供したいと考えています。
 

アステラスが外部パートナーに期待するアセットおよびケイパビリティ

  • 病態特異的なミクログリアの機能や表現型をコントロールできる新しいメカニズムや標的分子
  • 上記の標的やメカニズムを制御しうる低分子や抗体およびその作用をモニターできるバイオマーカー


 

ヒト遺伝学


薬の研究開発(創薬)における成功確率の低下と研究開発関連費用の増大は、業界全体の大きな課題となっており、適切な解決策が強く求められています。近年、何らかのヒト遺伝学的な裏付けを持って創薬を進めることで成功確率の向上を期待できることが分かり、ヒト遺伝学の重要性が再認識されています。次世代シーケンサーに代表されるヒトゲノム配列解析技術の驚異的な進展、電子カルテの普及、情報科学技術の革新などを背景に、遺伝子の機能とヒト疾患との関係、疾患の原因、予防に役立つ可能性のある因子など、ヒト疾患に対する私たちの理解が大きく進歩し、これからの創薬を大きく変えていくと考えています。

例えば単一遺伝病では、より多くの原因遺伝子が同定されるようになり、遺伝子治療など新しい治療方法が活発に研究されています。より一般的な疾患、いわゆる「ありふれた疾患」に対しても、病気になるメカニズムの理解や創薬標的分子の同定を加速させています。ヒト遺伝学は、治療方法の研究開発へ貢献するだけでなく、発症予防を目的とする予防医学にも大きく貢献することが期待されています。

アステラスでは、最先端のヒト遺伝学研究を推進している国内外の医療機関/研究機関との協業を通じて、単一遺伝病の原因遺伝子同定を推進しています。また、各国のバイオバンクとの連携を有効に活用し、ありふれた疾患*の治療につながる研究も進めています。これらの知見を統合し、これまでに私たちが培った創薬に関するノウハウや技術を応用することで、多くの患者さんに対して新たな治療方法という価値を提供できる、と考えています。

*ありふれた疾患:高血圧、高脂血症など罹患率が高い疾患のこと
 

アステラスが外部パートナーに期待するアセットおよびケイパビリティ

  • ヒト遺伝学研究から同定した新規標的遺伝子の情報
  • 上記標的を制御し得る医薬品候補物質


 

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