自然リンパ球(ILCs: Innate Lymphoid Cells)は、新しく発見された免疫系の細胞として注目を集めています。他の免疫細胞に比べてILCsはエフェクター機能に優れており、多量のサイトカインを産生し炎症を引き起こすことが知られています。その一方で免疫寛容を誘導する機能があることも知られています。
ILCsの機能を制御する薬剤を見いだすことができれば、既知の免疫細胞を標的としたこれまでの免疫制御では達成できなかった効果はもとより、免疫抑制薬を使用した際にみられる副作用を回避することにもつながることが期待されます。
アステラスは、ILCsという新しいサイエンスにおいて、これまでに培った免疫領域でのノウハウを活用することにより、アンメットメディカルニーズの高い自己免疫疾患、アレルギー疾患、がん等に対して高い有効性が期待できる製品の創出を行い、新たな治療選択肢を提供したいと考えています。
アステラスが外部パートナーに期待するアセットおよびケイパビリティ
- ILCs制御機能を持った新しいメカニズムや標的分子。具体的な機能としてはILCsの選択的な活性化制御、ILCsを介した免疫寛容誘導、ILCs分化制御、ILCs可塑性制御などを求めています。
- 上記の標的やメカニズムを制御しうる低分子や抗体を求めています。
多くの疾患は、細胞機能を損なう不完全・不要なタンパク質が蓄積されることで引き起こされると考えられています。
オートファジーは、これらのタンパク質を細胞から除去するための重要な、いわば品質管理プロセスの仕組みとして知られており、オートファジーの機能促進は機能不全タンパク質の蓄積を特徴とする幅広い疾患に対処する直接的な方法となります。適応可能な疾患として期待されているのが、神経変性疾患、リソソーム蓄積障害、腎疾患、感染性疾患、HIV、およびある種のがん、さらには一部の精神疾患です。
アステラスはオートファジーの生化学と細胞生物学の専門知識を活用することにより、効果的な治療手段のない疾患の患者に対して新規かつ安全で効果的な治療法を提供したいと考えています。
アステラスが外部パートナーに期待するアセットおよびケイパビリティ
- オートファジーを制御する新しいメカニズムや標的分子を求めています。
- 上記の標的やメカニズムを制御しうる低分子を主に求めています。
生体が本来備えているタンパク分解機構を利用したり、標的タンパクの生成プロセスにおけるRNAを標的とする等、標的タンパクを特異的に分解する技術が近年大きな注目を集めています。
これらの技術を駆使することにより、これまで疾患の原因となることが判明しながらも既存技術では調節できなかった標的分子に対する創薬の可能性が大きく広がると期待されています。
アステラスは、プロテインノックダウンの技術とこれまでに培った低分子創薬技術を組み合わせることによって、例えばアンドラッガブルながん遺伝子に起因する、がんのようなアンメットメディカルニーズが残る疾患の患者さんに対して、新しい治療選択肢を提供したいと考えています。
アステラスが外部パートナーに期待するアセットおよびケイパビリティ
- がん特異的に発現するE3 に対する選択性の向上や、経口剤としての動態の向上が期待される技術もしくはそのノウハウを求めています。
- タンパク分解を制御するRNAバインダーの実用的なスクリーニング技術を求めています。
- がん遺伝子に対する、あるいは、これらを標的とする薬剤とのシナジーが期待される標的のタンパク分解薬もしくはRNAバインダーを求めています。
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