アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長:畑中 好彦、以下「アステラス製薬」)とAnokion SA(本社:スイスローザンヌ、以下「アノキオン社」)は、アノキオン社が保有する抗原特異的免疫寛容誘導技術を用いた1型糖尿病、セリアック病1)の治療薬創製を目指す研究提携に関する契約を2015年5月29日付で締結しましたのでお知らせします。

本契約の概要は以下の通りです。

  • 新たに設立されたKanyos Bio, Inc.(本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、以下「カンヨス社」)において1型糖尿病、セリアック病の治療薬創製に取り組みます。また、アステラス製薬は3つ目の適応症を対象とするプログラムを追加するオプション権を有しています。
  • アステラス製薬は、研究開発のための資金をカンヨス社へ提供し、一定のマイルストン達成後、カンヨス社を買収するための独占的オプション権を有しています。(研究開発のための資金、オプション行使時の支払い、開発マイルストン支払いなど合計約760百万ドルを支払う可能性があります。)
  • カンヨス社は、アステラス製薬と既存のアノキオン社株主2)から合わせて合計約16百万ドルの出資を受けます。

通常、生体内で不要となった細胞や古くなった赤血球などは、脾臓や肝臓で処理されます。その際、自己の細胞成分に対して免疫反応が起きないように、免疫反応の抑制が誘導されることが知られています。これを「免疫寛容」といい、アノキオン社は生体内に備わった免疫寛容誘導機構を応用し、赤血球に結合するように改変されたタンパク質抗原を用いて抗原特異的な免疫寛容を誘導する技術を有しています。本技術を活用することによって、特定の抗原に対する免疫応答を選択的に抑制することが可能となり、1型糖尿病やセリアック病などの自己免疫疾患に対する安全性の高い根本的な治療法の実現も可能となります。

アステラス製薬の上席執行役員・経営戦略担当の安川健司は次のように述べています。「アノキオン社が持つ大変ユニークな特異的免疫寛容誘導技術に関する提携ができたことを嬉しく思います。本提携は当社の既存重点疾患領域の一つである免疫科学における戦略の一つで、1型糖尿病やセリアック病といったアンメットニーズの高い疾患で、画期的な治療薬をお届けしていきたいと考えています。さらに、本技術は理論的にはその他いくつかの自己免疫疾患にも応用が可能と考えられ、将来に大きな発展性のあるものと期待しています。」

シカゴ大学分子工学教授、スイス連邦工科大学ローザンヌ校生物工学教授並びにアノキオン社とカンヨス社の創設者であり最高科学責任者でもあるJeffrey Hubbell氏は次のように述べています。

 「アステラス製薬が、アノキオン社の持つ免疫科学の技術と経験を医療用医薬品開発に活用してくれることを大変うれしく思います。両社は新会社であるカンヨス社を通じて患者さんに多大な貢献ができることを期待しています。」

なお、本提携に伴うアステラス製薬の当期(2016年3月期)業績への影響は軽微です。

以上

1)セリアック病:小麦・大麦・ライ麦などに含まれるタンパク質の一種であるグルテンに対する免疫反応が引き金になって起こる自己免疫疾患。米国人の1-2%が罹患していると言われている。一方、日本人で罹患することは稀。現在、治療法は無く、グルテンフリーの食生活を生涯続けなければならない。

2)アノキオン社の投資家:Versant Ventures, Novo Ventures, and Novartis Venture Fund、及び個人投資家

アノキオン社とカンヨス社について

アノキオン社(本社:ローザンヌ)はスイス連邦工科大学ローザンヌ校(the Ecole Polytechnique Fédérale de Lausanne (EPFL))から独立してできたバイオテクノロジー会社です。治療用タンパク質の免疫原性を減少させる抗原特異的免疫寛容誘導技術の開発に取り組んでいます。アノキオン社の基盤技術は様々な疾患治療薬開発への臨床応用可能性を有しています。

http://www.anokion.com

カンヨス社(本社:マサチューセッツ州、ケンブリッジ)はアステラスと共同出資により新たに設立された会社で、アノキオン社の技術を活用して1型糖尿病やセリアック病の治療薬創製を行っています。

http://www.kanyosbio.com/