アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長:畑中 好彦、以下「アステラス製薬」)とBellicum Pharmaceuticals, Inc.(NASDAQ: BLCM、本社:米国テキサス州、CEO: Thomas J. Farrell、以下「Bellicum社」)は、本日、アステラス製薬の連結子会社であるAgensys, Inc. (以下「Agensys社」)とBellicum社が、Agensys社が開発した前立腺幹細胞抗原(PSCA)抗体を用いた、CAR-T細胞などによる養子細胞療法に関する開発及び商業化の権利をBellicum社に供与する全世界におけるライセンス契約を締結しましたのでお知らせします。

PSCAは、前立腺がん、膵臓がん、膀胱がん、食道がん及び胃がんなどに発現するがん抗原です。Bellicum社が開発中のBPX-601は、PSCAを標的としたGoCAR-T™*1)開発候補細胞であり、前臨床試験で強力な抗腫瘍効果を示しています。GoCAR-T™は、Bellicum社が特許権を有する技術であり、その技術におけるMC(MyD88/CD40)分子スイッチは、患者さんの体内でGoCAR-T™細胞の活性、増殖及び持続に関する薬理学的制御を可能にします。Agensys社が有するPSCA抗体に関する技術を、まずは開発が先行するBPX-601に導入することにより開発の加速化を図ります。

Bellicum社のPresident and CEOであるThomas J. Farrell氏は次のように述べています。「Bellicum社のCAR-T細胞技術にとって、PSCAは大きな可能性を有するがん標的分子です。今回のライセンス契約は、アンメットニーズの高い多くのがんを対象としたBellicum社のBPX-601の開発をさらに前進させるものです。BPX-601で膵臓がんを最初の目標適応症として開発中のプログラムを、2016年前半に臨床段階まで進展させることを期待しています。」

アステラス製薬の上席執行役員・経営戦略担当である安川 健司は、次のように述べています。「Bellicum社は、開発プログラムをより進展させる可能性を持つ革新的な高い技術を有しており、この度、同社と提携することを嬉しく思います。両社の技術により、一日も早くがん患者さんへ新たな治療の選択肢を提供できることを期待しています。本提携は、アステラス製薬が積極的に取り組むがん免疫領域戦略上の重要な一手であり、引き続きがんの細胞治療法を含むがん免疫の分野に積極的に投資していきます。」

本ライセンス契約の条件に基づき、Agensys社は、Bellicum社から契約一時金を受け取り、臨床開発及び販売マイルストンに基づく一時金、並びに製品売上げの一桁台パーセントをロイヤルティとして受け取る可能性があります。アステラス製薬、又はAgensys社は日本におけるBPX-601をはじめとするBellicum社が開発したPSCA抗体に関する技術を用いた製品の商業化のオプション権を留保します。この権利を行使した場合、Bellicum社は権利行使に伴う支払いをアステラス製薬、又はAgensys社から受け取り、Agensys社への臨床開発、及び販売に関するマイルストンは減額されます。またBellicum社は、日本における当該製品の売上げに基づくロイヤルティをアステラス製薬、又はAgensys社から受け取ります。

以上

*1)GoCAR-T™:GoCAR-T™は、CAR-T細胞の活性化を分子制御できる技術です。通常のCAR-T治療では、CAR遺伝子が導入されたT細胞ががん細胞と結合すると、T細胞が制御不能状態で活性化し、副作用を示すことがあります。一方、GoCAR-T™は、T細胞ががん細胞と結合してもrimiducid*2)が無い状態では活性化しません。rimiducidを投与することで初めてT細胞が活性化し、がん細胞への攻撃が開始します。このように、T細胞の活性化を制御できることから、従来のCAR-T療法と比較して副作用の低減が期待できる技術です。

*2)rimiducid : GoCAR-T™においてT細胞内に発現させているMC(MyD88/CD40)分子の二量体を形成させる低分子です。MC分子の二量体形成の有無によりT細胞の活性化を調整することができます。

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