アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長CEO:安川 健司、以下「アステラス製薬」)とFibroGen, Inc.(NASDAQ:FGEN、本社:米国カリフォルニア州サンフランシスコ、CEO:Thomas B. Neff、以下「FibroGen社」)は、共同で開発を進めているロキサデュスタット(開発コード:ASP1517/FG-4592)について、透析期の慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease: CKD)に伴う貧血患者を対象として日本で実施した2つの第III相試験(1517-CL-0302および1517-CL-0307)のデータが、2018年10月23日から28日にカリフォルニア州サンディエゴで開催された米国腎臓学会(American Society of Nephrology: ASN)のKidney Week 2018において発表されたことを、お知らせします。

 1517-CL-0302試験では、日本人の腹膜透析患者におけるロキサデュスタットの有効性と安全性を評価しました。本試験では、赤血球造血刺激因子製剤(Erythropoiesis Stimulating Agent: ESA)による既治療もしくは未治療の日本人の腹膜透析患者において、ロキサデュスタットの投与によりヘモグロビン(Hb)値が目標範囲内に維持され、ロキサデュスタットの良好な忍容性が確認されました。1517-CL-0307試験では、遺伝子組換えヒトエリスロポエチン製剤(rHuEPO)またはダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)製剤(一般名、以下「ダルベポエチン アルファ」)による治療歴を有する血液透析期のCKDに伴う貧血患者を対象として、ロキサデュスタットの有効性および安全性をダルベポエチン アルファと比較して評価しました。本試験において、ロキサデュスタットは血液透析期の患者においてHb値を10-12 g/dLの範囲で効果的に維持し、ダルベポエチン アルファに対する非劣性が確認されました。また、両試験において、安全性プロファイルはこれまでのCKD患者群を対象とした臨床試験で認められた結果と一致しました。

 ロキサデュスタットの2つの第III相試験データに関する主な発表内容は、以下の通りです。

1517-CL-0302 試験

Title: Phase 3, Multicenter, Open-Label Study of Intermittent Oral Roxadustat in Peritoneal Dialysis CKD Patients with Anemia
(発表番号: SA-OR075, 口頭発表セッション、10月27日(土)午後5:54 - 6:06 (米国太平洋時間)、サンディエゴ コンベンションセンター Room 2)

■ 試験デザイン

  • 本多施設共同、24週間の無作為化、非盲検第III相試験は、日本人の腹膜透析期のCKDに伴う貧血患者を、登録前のESAの治療歴に基づき2つのグループに組み入れました。
     
  • ESA未治療患者は、ロキサデュスタット50 mgまたは70 mgの投与群に無作為に割り付けられました。ESA既治療患者は、これまでのESAの用量に応じて、ロキサデュスタット70 mgまたは100 mgに切り替えました。
     
  • 試験期間を通して、Hb値が10-12 g/dLの目標範囲内に維持されるように用量を調整しました。
     
  • 有効性評価項目は、投与18週から24週における目標Hb値の維持率、投与終了時までの累積奏効率(Hb値が10.0 g/dLおよび10.5 g/dL以上、かつベースラインよりHb値が1.0 g/dL以上上昇)、投与18週から24週の平均Hb値およびベースラインからの平均Hb値変化量、ならびに投与0週から4週目までのHb値上昇速度としました。
     
  • 安全性プロファイルは、有害事象(Adverse Events: AEs)の発現頻度により評価しました。

■ 試験結果

  • 56症例の患者(ESA未治療患者群: 13症例、ESA既治療患者群: 43症例)が組み入れられました。
     
  • 有効性評価項目
     
    • Hb値の維持率はESA未治療患者群では92.3%(95% 信頼区間: 64.0、99.8)、ESA既治療患者群では74.4%(95% 信頼区間: 58.8、 86.5)でした。
       
    • 投与18週から24週において少なくとも一度はHb値が測定された患者でのHb値の維持率はESA未治療患者群では92.3%(95%信頼区間: 64.0、99.8)、ESA既治療患者群では86.5%(95%信頼区間: 71.2、95.5)でした。
       
    • ESA未治療患者群での累積奏効率は、Hb値に基づくいずれの基準でも100.0%でした。
       
    • 投与18週から24週の平均Hb値の平均は、ESA未治療患者群では11.05 g/dL(95%信頼区間: 10.67、11.42)、ESA既治療患者群では10.93 g/dL(95%信頼区間: 10.73、11.13)でした。
       
    • 投与18週から24週の平均Hb値のベースラインからの平均変化量は、ESA未治療患者群では1.69 g/dL(95%信頼区間: 1.06、2.33)、ESA既治療患者群では0.14 g/dL(95%信頼区間: -0.12、0.39)でした。
       
    • ESA未治療患者群では、投与0週から4週までのHb値上昇速度の平均値(標準偏差)は、ロキサデュスタット50 mgおよび70 mgの投与群で、それぞれ0.193 g/dL/週(0.203)および0.556 g/dL/週(0.408)でした。
       
  • 試験治療下で発現した主な有害事象(The most common Emergent Adverse Events: TEAEs)は鼻咽頭炎、背部痛、カテーテル留置部位感染、下痢、嘔吐、腹痛、結膜炎、便秘、悪心、そう痒症でした。

 

1517-CL-0307 試験

Title: Phase 3, Randomized, Double-Blind, Active-Comparator (Darbepoetin Alfa) Conversion Study of Oral Roxadustat in CKD Patients with Anemia on Hemodialysis in Japan
(発表番号: TH-PO1151, ポスターセッション、10月25日(木)午前10時-正午(米国太平洋時間)、展示ホール)

■ 試験デザイン

  • 本多施設共同、24週間の無作為化、二重盲検、ダブルダミー、ダルベポエチン アルファ対照第III相試験は、rHuEPOまたはダルベポエチン アルファ治療から切り替えられた12週間以上の血液透析を受けている日本人のCKDに伴う貧血患者を組み入れました。
     
  • 患者は、ロキサデュスタット(70 mgまたは100 mg、週3回投与)群もしくはダルベポエチン アルファ(10-60 μg、週1回投与)群に無作為に割り付けられました。また、ロキサデュスタットの用量はHb値が10-12 g/dLに維持されるように調整しました。
     
  • 主要評価項目は、投与18週から24週におけるベースラインからの平均Hb値変化量としました。投与18週から24週における平均Hb値の95%信頼区間が10-12 g/dLの範囲内であればロキサデュスタットの有効性が確認されます。投与18週から24週におけるベースラインからの平均Hb値変化量におけるロキサデュスタット群とダルベポエチン アルファ群の群間差の95%信頼区間の下限値が、-0.75 g/dLを上回ればダルベポエチン アルファに対するロキサデュスタットの非劣性が確認されます。
     
  • 副次評価項目は、投与18週から24週の平均Hb値、投与18週から24週における平均Hb値が10-12 g/dLの患者の割合(維持率)、鉄パラメーター(血清鉄、フェリチン、トランスフェリン飽和度(Transferrin Saturation: TSAT)、トランスフェリン、総鉄結合能(Total Iron Binding Capacity: TIBC)などとしました。
     
  • 安全性プロファイルは、AEsの発現頻度および眼科検査(眼底写真および光干渉断層撮影(Optical Coherence Tomography: OCT))などにより評価しました。

■ 試験結果

  • 303名の患者が、ロキサデュスタット群(151症例)もしくはダルベポエチン アルファ群(152症例)に無作為に割り付けられました。
     
  • 投与18週から24週のロキサデュスタット群における平均Hb値の平均は、10.99 g/dL(95%信頼区間: 10.88、11.10)で、ロキサデュスタットの有効性が確認されました。
     
  • 投与18週から24週のベースラインからの平均Hb値変化量におけるロキサデュスタット群とダルベポエチン アルファ群の群間差は -0.02 g/dL(95%信頼区間: -0.18、0.15)であり、ダルベポエチン アルファに対するロキサデュスタットの非劣性が確認されました。
     
  • Hb値の維持率は、ロキサデュスタット群で79.3%(95%信頼区間: 72.0、85.5)、ダルベポエチン アルファ群で83.4%(95%信頼区間: 76.5、89.0)でした。
     
  • 投与18週から24週において少なくとも一度はHb値が測定されHb値が10-12 g/dLに維持された患者の割合は、ロキサデュスタット群で95.2%(95%信頼区間: 89.8、98.2)、ダルベポエチン アルファ群で91.3%(95%信頼区間: 85.3、95.4)でした。
     
  • 両群に認められた主なTEAEsは、鼻咽頭炎、シャント狭窄、下痢、挫傷、嘔吐でした。
     
  • 眼科検査において、眼底写真の盲検評価では、治療期間中に網膜出血が新規に確認されたあるいは悪化した患者の割合は、ロキサデュスタット群で32.4%、ダルベポエチン アルファ群で36.6%でした。OCT検査では、臨床的に意義のある網膜厚の変化は投与0週から治療終了時まで両群ともに認められませんでした。 
     
  • ダルベポエチン アルファ群と比較して、ロキサデュスタット群で網膜出血などの眼科的異常のリスク増加は認められませんでした。
     
  • ロキサデュスタットは,良好な忍容性を示すとともに,安全性プロファイルは,ダルベポエンアルファと同様であり,これまでの報告と一致していました。

ロキサデュスタットの試験詳細についてはclinicaltrials.govをご参照ください。
https://clinicaltrials.gov/ct2/results?term=roxadustat&Search=Search

以上