アステラス製薬株式会社(本社:東京、社長:野木森 雅郁、以下「アステラス製薬」)は、米国の医薬品会社アイアンウッド社(英名:Ironwood Pharmaceuticals, Inc.、本社:米国マサチューセッツ州、CEO : Peter Hecht)と、11月10日に、同社が米国にて便秘型過敏性腸症候群および慢性便秘の治療薬として開発中の「Linaclotide(リナクロチド、一般名)」について、日本およびインドネシア、韓国、フィリピン、台湾、タイ(以下「契約地域」)での開発、販売に関する独占的なライセンス契約を締結しましたので、お知らせします。

 リナクロチドは、1日1回投与の経口C型グアニル酸シクラーゼ(GC-C)受容体作動薬です。本化合物は、腸粘膜上皮細胞上のGC-C受容体と結合し、細胞内の環状グアノシン一リン酸(cGMP)産生を亢進させ、腸内腔の水分分泌と腸内移送を亢進し、便秘を改善します。また、細胞外に分泌したcGMPにより腹痛を軽減させるという特徴を併せもっています。アイアンウッド社は現在、米国において便秘型過敏性腸症候群ならびに慢性便秘を対象とした第3相臨床試験を実施しています。

 このたびの契約により、アステラス製薬は契約地域におけるリナクロチドの独占的開発・販売権を取得します。その対価として、アステラス製薬はアイアンウッド社に対して、契約締結時一時金30百万ドルや開発の進捗に合わせたマイルストンを含む総額75百万ドルを支払うほか、売上に応じて漸増するロイヤリティを支払うことになります。
 またアステラス製薬は、契約地域におけるリナクロチドの臨床開発、承認取得、販売に関する全ての費用を負担します。なお、日本での臨床開発は今後実施する予定です。

 過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)は器質的病変を伴わずに腹痛・腹部不快感と便通異常(下痢、便秘)を主体とした消化器症状が長期間持続する、もしくは悪化・改善を繰り返す機能性疾患です。過敏性腸症候群の便通異常や腹部症状は、ストレスをはじめとする種々の病因によって引き起こされると考えられています。IBSはその病態から、下痢型、便秘型および下痢、便秘両方を呈する混合型(交替型)に分類されますが、日本における成人のIBS全体の有病率は12.5%との報告があり、患者数は約1,200万人と推定されています。

 アステラス製薬は現在、日本において消化器領域の薬剤として、消化性潰瘍・胃炎治療剤ガスター、男性の下痢型過敏性腸症候群治療剤イリボー、過敏性腸症候群治療剤コロネルなどを有していますが、このたびのライセンス契約締結により、リナクロチドがラインナップに加わることで、同領域に一層の貢献ができるものと期待しています。

 

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