アステラス製薬株式会社(本社:東京、社長:野木森 雅郁、以下「アステラス製薬」)は、このたび、米国のバイオ医薬品会社アンビット社(英名:Ambit Biosciences Corporation、本社:カリフォルニア州サンディエゴ、CEO:Scott Salka)と、同社のFLT3*チロシンキナーゼ阻害剤に関し、がんおよびそれ以外の適応症について全世界での共同開発・商業化に関する契約を締結しましたので、お知らせします。本提携の対象化合物には、最も開発が先行している「AC220」ならびに他のFLT3チロシンキナーゼ阻害剤が含まれています。なお、アンビット社は   「AC220」で再発・治療抵抗性急性骨髄性白血病を対象とした第II相臨床試験を2009年12月に開始しています。

   両社は、急性骨髄性白血病およびそれ以外の適応症について「AC220」の開発を共同で実施します。また、両社はがんおよびそれ以外の適応症について、他のFLT3チロシンキナーゼ阻害剤の研究および開発プログラムを共同で進めていきます。米国と欧州における「AC220」およびその後に追加される全ての製品に関わる開発費用は両社で折半します。それ以外の地域の開発については、アステラス製薬の費用負担のもとで進めていきます。本契約に基づき、アステラス製薬はアンビット社に対し契約締結一時金として40百万ドルを支払います。また、種々の開発マイルストン達成に伴う総額350百万ドルの一時金を支払う可能性があります。

   アステラス製薬は、すべての製品の商業化に関する全世界での独占的権利を有するとともに、商業化のための全ての費用を負担します。アステラス製薬は、アンビット社に対し売上に応じて漸増する二桁台のロイヤリティおよび売上達成に応じて追加の一時金を支払います。なお、アンビット社は「AC220」およびその他の製品について米国でのコ・プロモーション権を有しており、それが行使された場合、米国に関しては、全ての費用と利益を両社で折半することになります。

   急性骨髄性白血病は、成人において最も多い血液がんの一種です。米国がん協会(American Cancer Society)によると、2008年の米国における急性骨髄性白血病での新規受診患者数は約13,000件といわれています。急性骨髄性白血病患者ではFLT3が過剰に発現しており、25%から40%の患者でFLT3の遺伝子内縦列重複変異(以下、「FLT3遺伝子変異」)がみられます。これらの患者では、FLT3が恒常的に活性化し、白血球の分化・増殖を繰り返します。FLT3遺伝子変異の患者は、予後が悪く、化学療法や造血前駆細胞移植を含む既存治療への応答性も悪いと考えられています。
  「AC220」は、選択性の高い第二世代の経口FLT3チロシンキナーゼ阻害剤です。「AC220」は現在、FLT3遺伝子変異を有する再発・治療抵抗性急性骨髄性白血病患者を対象とした単剤投与での第II相臨床試験を実施しています。なお、本試験は今後の承認申請に活用することも考えています。

   アステラス製薬は、がん領域をフォーカス疾患のひとつに位置づけ経営資源を集中しています。当社では、このたびの契約締結により、がん領域における事業基盤が一層強化されるものと考えています。

[アンビット社(Ambit Biosciences Corporation)について]
   アンビット社は、本社を米国カルフォルニア州に置くバイオ医薬品会社であり、特にがん、炎症疾患に対する新規低分子キナーゼ阻害剤の研究開発にフォーカスしています。

*FLT3(FMS-like tyrosine kinase 3):クラスIII受容体型チロシンキナーゼであり、主に幼若造血細胞の細胞膜上に発現し、血液細胞の分化・増殖と造血幹細胞の自己複製における重要なシグナル伝達機構に関与している。

 

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