アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:畑中 好彦、以下「アステラス製薬」)は、Vical Incorporated(以下「Vical 社」)と共同で開発しているサイトメガロウイルス(CMV)DNAワクチン(開発コード:ASP0113、以下「ASP0113」)について、CMV抗体陽性の造血幹細胞移植患者を対象に進めていた国際共同第 III 相 HELIOS 試験において、主要評価項目(全死亡数と CMV 感染症の発現率からなる複合評価項目)、および副次評価項目を達成しませんでしたのでお知らせします。なお、安全性プロファイルに関して、本剤は忍容性に問題はなく、ワクチン群で最も多くみられた有害事象は局所部位反応でした。

 Astellas Pharma Global Development, Inc.の開発機能長である Bernhardt G. Zeiher, M.D.は次のように述べています。「私たちは、全死亡数および CMV 感染症の発現率の明らかな改善が見られなかった今回の結果について大変残念に思います。本臨床試験に参加していただいた患者さんならびに医療関係者の方々に感謝申し上げます。」

 本試験では、CMV 抗体陽性の造血幹細胞移植患者を対象として、移植後 1 年間の全死亡数と CMV 感染症の発現率からなる複合評価項目を主要評価項目、移植後 1 年間のCMV 血症の初発までの期間を副次評価項目として、ASP0113 の有効性をプラセボとの比較により評価しましたが、いずれの評価項目においても有意差が認められませんでした。

 Vical 社の Chief Executive Officer である Vijay Samant は次のように述べています。「今回の第 III 相試験の結果を大変残念に思います。アステラス製薬および Vical 社の従業員、医師、その他の試験実施施設の医療関係者は、本臨床試験においてそれぞれベストを尽くしましたが、本ワクチンは難治性患者さんにおける全死亡数を低減させることができませんでした。」

 本試験のプロトコールは、1:1 無作為化二重盲検プラセボ対照試験です。CMV 抗体陽性の造血幹細胞移植患者 514 名が組み入れられました。造血幹細胞提供者と患者の適合度および造血幹細胞提供者の CMV 抗体の有無によって層別化し、移植後 1 年間評価しました。ASP0113 の臨床試験の詳細については https://www.clinicaltrials.gov/をご覧ください。

サイトメガロウイルスについて
サイトメガロウイルスは、ヘルペスウイルス科に属するウイルスです。米国では半数以上の成人が 50 歳までに感染すると言われており、発展途上国では米国以上に多くの割合の人が感染していると言われています。健康人では通常、免疫が正常に働いているため大きな問題になりませんが、免疫が十分に機能していない人は、サイトメガロウイルスの再活性化のリスクが高く、重度の感染症を引き起こす可能性があり、最悪の場合、死に至るケースもあります。造血細胞移植患者や臓器移植患者、妊娠中に初回感染した母親から生まれた新生児では、リスクが非常に高くなります。

ASP0113 について
ASP0113 は、造血細胞移植患者において、サイトメガロウイルス感染症およびそれに伴う合併症を抑制するためにデザインされた開発中の二価 DNA ワクチンです。この二価 DNA ワクチンは、細胞性および体液性免疫応答を誘導するために、サイトメガロウイルスのリンタンパク質 65 および糖タンパク質 B 抗原をコードするもので、ポロキサマーをベースとした独自の送達システムとともに製剤化されます。ASP0113 は当初 Vical 社により開発され、米国及び欧州で、臓器移植患者及び造血細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス感染抑制の治療薬として、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の指定を受けています。アステラス製薬は2011年7月に、ASP0113 の全世界における開発・商業化に関する独占的ライセンス契約を Vical 社と締結し、現在、アステラス製薬が主導して開発を進めています。

アステラス製薬について
アステラス製薬株式会社<https://www.astellas.com/ja>は、東京に本社を置き、「先端・信頼の医薬で、世界の人々の健康に貢献する」ことを経営理念に掲げる製薬企業です。既存の重点疾患領域である泌尿器、がん、免疫科学、腎疾患、神経科学に加えて、新たな疾患領域への参入や新技術・新治療手段を活用した創薬研究にも取り組んでいます。さらには各種医療・ヘルスケア事業との融合による新たな価値創出にも挑戦しています。アステラス製薬は、変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの価値に変えていきます。

Vical 社について
Vical 社は、特許を取得した独自の DNA 送達技術およびその他の治療アプローチに基づき、慢性または生命を脅かす感染性疾患の予防と治療を目的としたバイオ医薬品の開発を行っています。Vical 社の詳細な情報については、http://www.vical.com をご覧ください。

注意事項
このプレスリリースに記載されている現在の計画、予想、戦略、想定に関する記述およびその他の過去の事実ではない記述は、アステラス製薬の業績等に関する将来の見通しです。これらの記述は経営陣の現在入手可能な情報に基づく見積りや想定によるものであり、既知および未知のリスクと不確実な要素を含んでいます。さまざまな要因によって、これら将来の見通しは実際の結果と大きく異なる可能性があります。その要因としては、(i)医薬品市場における事業環境の変化および関係法規制の改正、(ii)為替レートの変動、(iii)新製品発売の遅延、(iv)新製品および既存品の販売活動において期待した成果を得られない可能性、(v)競争力のある新薬を継続的に生み出すことができない可能性、(vi)第三者による知的財産の侵害等がありますが、これらに限定されるものではありません。また、このプレスリリースに含まれている医薬品(開発中のものを含む)に関する情報は、宣伝広告、医学的アドバイスを目的としているものではありません。

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