関節リウマチの症状や発症のしくみ、検査から治療方法まで、イラストでわかりやすく解説します。

監修:東京医科歯科大学大学院
膠原病・リウマチ内科学 名誉教授
宮坂信之 先生

 

関節リウマチとは?

関節リウマチの原因は明らかになっていませんが、免疫の異常により関節に炎症が起こり、痛みや腫れ、変形を引き起こす全身性の慢性疾患です。

疫学

関節リウマチに悩む患者さんは、

※高齢化に伴って、高齢発症の関節リウマチが増加傾向にあります。

症状

関節症状

関節症状
関節の痛み、腫れなど

関節外症状

関節外症状
からだのだるさ、貧血など
 

関節リウマチの症状

関節症状

関節には日常生活に大きく影響を与える症状があらわれます。

関節の腫れ・痛み(関節炎)

「左右対称」に「複数」の関節が「慢性的」に腫れ、痛む。手足の指や手首などに発生しやすい。とくに朝のこわばりが特徴的。

関節の変形 

手の指

手の指

足の指

足の指
 

 

関節外症状

関節リウマチは全身性の病気です。症状は関節にとどまらず全身にあらわれます。

皮下結節(リウマトイド結節)

皮下結節(リウマトイド結節)
皮膚の下にこぶ状のしこりができる。
ひじやひざなど圧迫を受けやすい部位にみられる。

だるさ・疲労感

だるさ・疲労感
微熱がでたり、食欲がなくなり、体重が減少することもある。
 

 

貧血

貧血
血液がうすくなる。

肺の炎症(肺繊維症、間質性肺炎)

肺の炎症(肺繊維症、間質性肺炎)
肺の間質に炎症が起こり、息切れや呼吸困難を起こす。
 

 

眼の炎症(上強膜炎、強膜炎)

眼の炎症(上強膜炎、強膜炎)
強膜に炎症が起こり、角膜の充血や眼の痛みが起こる。

血管の炎症(リウマチ性血管炎)

血管の炎症(リウマチ性血管炎)
血管の炎症によって酸素や栄養が十分行き渡らなくなり、さまざまな臓器に障害があらわれる。
 

関節リウマチの発症のしくみ

関節リウマチの原因はいまだに不明ですが、免疫異常により自分のからだを攻撃する「自己免疫疾患」であるといわれています。関節の滑膜に炎症が起こり、痛みや変形が起こります。

痛みと変形が起こるまで

免疫異常により関節に炎症が起こる。

滑膜が腫れ、関節腔に関節液がたまる。

 

炎症に関与するサイトカインが過剰につくられ、さらに炎症を悪化させる。
※サイトカインとは?
免疫反応を調節する物質で、炎症の悪化や関節の破壊を促進します。

滑膜組織が増殖し、骨や軟骨を侵食して破壊する。

 

最終的には、骨・軟骨の破壊へと進みます

 

正常な関節と発症した関節の比較

 

関節リウマチの経過

個人差はありますが、よくなったり悪くなったりを繰り返しながら慢性的に症状が続きます。

経過には4つのタイプがあります。初期の段階であれば、治療によって病気の進行を食い止めることができます。重症化を防ぐためにも、早期発見・早期治療が大切です。

経過のタイプ

①進行型
悪化の一途をたどるタイプ。

②多周期増悪型
除々に病気が進行していくタイプ。

③多周期寛解型
除々によくなっていくタイプ。

④短周期型
一時期症状が悪化するが、その後は再発しないタイプ。

関節リウマチの診断

関節リウマチ新分類基準

新分類基準では、腫脹関節数、リウマトイド因子または抗CCP抗体、関節炎の持続期間、急性炎症タンパクなどから、関節リウマチと診断されます。

 

関節リウマチの検査

関節リウマチでは、診断のほか、炎症の程度や貧血、薬剤の効果や副作用を調べる目的で、さまざまな検査が行われます。

血液検査

診断の確定や炎症の程度、他の病気との鑑別、薬剤の副作用の有無など調べる。

 

 

 

 

 

主な検査項目
炎症マーカー:赤沈、CRP→炎症の程度をみる。
免疫検査:リウマトイド因子→リウマチ患者さんの70%~80%が陽性を示す。
抗CCP抗体→早期リウマチ患者さんでも2/3が陽性を示す。
抗核抗体、免疫複合体、補体など
白血球、赤血球、ヘモグロビン、血小板など

関節液検査

炎症に関連する物質の有無を調べる。

主な検査項目
・関節液の状態
・細胞数、細胞分画、タンパク

 

 

X線検査

他の病気との鑑別、合併症や薬剤の副作用の有無を調べる。

 

 

 

 

 

尿検査 

 診断の確定のほか、病気の進行をみる。初期段階の関節の変化も発見できる。

関節リウマチの治療

治療の目的

  1. 関節破壊の進行を防止する。
  2. リウマチの炎症を抑える。
  3. 身体機能を高め、生活の質(QOL)を向上させる。

治療の概要

これまでのリウマチの治療は、関節炎によって起こる痛みを軽くしたり、機能障害を軽くすることなどに主眼が置かれていました。しかし最近では、抗リウマチ薬(DMARD)や生物学的製剤などの有効性の高い薬剤が開発されたために、関節破壊の進行を止めたり、未然に防ぐことができるようになってきました。

このためには、まずリウマチをできるだけ早く診断することがまず大切です。診断後は、早期から積極的に抗リウマチ薬(DMARD)を使用して関節炎のコントロールを図ります。それでも不十分な場合には、生物学的製剤を併用します。このような早期からの積極的な治療によってリウマチの症状を完全になくし、関節破壊を抑えることが治療の基本です。

薬剤による治療

リウマチの症状や程度は患者さんごとに異なります。このため、どの薬をどの順番で使うかも患者さんごとに違います。副作用も薬ごとに違うので、主治医・薬剤師の指示を守って正しく使用してください。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)

痛みや炎症を抑えるための薬剤です。

特徴:痛みや炎症を軽くしますが、リウマチの進行を抑えることはできません。このため、抗リウマチ薬と組み合わせて使われます。症状や合併症の有無を考慮し、それぞれの患者さんに合ったものが使われます。

注意点:主な副作用は胃炎や胃潰瘍などの消化管障害です。医師・薬剤師の指示を守って服用しましょう。

ステロイド薬

正式には副腎皮質ステロイド薬と呼ばれ、強い抗炎症作用と免疫抑制作用を持っています。

特徴:炎症を迅速にかつ強力に抑えることから、リウマチの治療にも使われます。しかし、ステロイド薬のみでは関節破壊を完全に抑えることはできないので、抗リウマチ薬と一緒に使われます。

注意点:長期に使用すると、たとえ少量でも感染症、骨粗鬆症、糖尿病、動脈硬化などの副作用を起こすことがあるため、できるだけ短期的にかつ少量を使うのが原則です。医師・薬剤師の指示を守って服用しましょう。

抗リウマチ薬(DMARDs)

免疫の異常を改善し、関節炎の進行を抑えます。

特徴:使い出してから効果が出るまでに少なくとも1ヶ月前後は掛かります。このため、当初は非ステロイド系抗炎症薬やステロイド薬と一緒に使うことがあります。最近では、比較的作用の強い薬剤を早期から積極的に使用する傾向にあり、その効果と副作用を定期的にモニターすることが大切です。

注意点:すべての人に有効というわけではなく、薬がよく効く人と効かない人がいます。長期間使用すると、効果が弱くなったり、効かなくなることがあります。副作用としては、発疹、肝障害、血液障害、感染症などが起こることがありますので、定期的な検査が必要です。医師・薬剤師の指示を守って服用しましょう。

生物学的製剤

炎症の悪化や関節の破壊を促進するサイトカインを抑制します。

特徴:点滴や注射で投与され、速効性と高い有効性が期待できます。さらに、関節破壊の進行を抑えたり、関節破壊を未然に防止することができるため、新しいタイプの薬剤として注目を集めています。

注意点:高い有効性が期待できる一方で、感染症などの重篤な副作用を起こすことがあります。治療費も高額であることから、リウマチ治療に精通した医師が慎重に使用を検討します。使用中は、必ず医師・薬剤師の指示を守りましょう。

手術療法

薬物療法やリハビリテーションで十分な効果が得られない場合は、手術を行います。

滑膜切除術
炎症を起こしている滑膜を取り除く。

関節固定術
手首や足首の関節を固定して痛みをなくす。

※写真提供: 井上和彦 先生

人口関節置換術
破壊された関節を切り取り、かわりに人工関節を入れる。

リハビリテーション

関節の可動性と筋力の維持・向上をはかります。

物理療法

目的:痛みを和らげ、血液の循環をよくする。

方法:
温熱療法・・    部分浴、ホットパックなど
寒冷療法・・    超低温運動療法など
水治療法・・    温泉・温水プール療法など
光線療法・・    レーザー光線 

 

 

運動療法

目的:関節の機能を保ち、筋力の低下を防ぐ。

方法:
自動運動・・    リウマチ体操、ひもを使った運動など
他動運動・・    徒手矯正など 

 

 

 

 

作業療法

目的:手や指を中心に、日常の動作を助ける。

方法:手芸、編み物、粘土細工、書道、絵、ワープロ、点字など

装具療法

目的:関節を支え固定して、変形を予防し、矯正する。

方法:スプリント、サポーター、コルセット、カラー、足底板など

関節リウマチと上手につきあうために

日常生活における注意点

病気・治療

  • 病気についての正しい知識をもち、自分の症状やこれまでの経過を把握しましょう。
  • 主治医の指示に従い、治療は根気よく続けましょう。勝手に薬の服用やリハビリを止めないようにしましょう。

運動・自助具

  • できる範囲で適度に運動しましょう。
  • 自助具の活用など、関節に負担をかけないで快適に過ごすための工夫をしましょう。

睡眠・ストレス

  • 痛みがひどいときは安静にし、十分な睡眠をとりましょう。
  • 笑って楽しく過ごし、ストレスをためないようにしましょう。

食事

  • 規則正しくバランスのよい食事を心がけましょう。