前立腺がんの薬物療法には、ホルモン(内分泌)療法と化学療法(抗がん剤療法)があります。

ホルモン(内分泌)療法

前立腺がんの薬物療法でまず行われるのは、ホルモン(内分泌)療法です。
ホルモン療法は、当初はほぼ全例に奏効しますが、約半数は数年の経過において、効果がみられなくなり、がん細胞が再び活発に増殖をはじめる「再燃」がみられることがあります。ホルモン治療によって去勢状態※にあるにも関わらず、再燃してきた前立腺がんは「去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)」といわれます。

※去勢状態:男性ホルモンを分泌している精巣を取り去ったレベルにまで男性ホルモンの分泌が抑えられた状態。テストステロン値が50ng/dL未満

男性ホルモンと薬のメカニズムについてはこちら

GnRH(LH-RH)アナログ製剤(注射)

ホルモン分泌の中枢に働きかけて、精巣(睾丸)からの男性ホルモンの分泌を止める薬です。1か月、3か月および6か月に1回皮下注射をするタイプがあります。精巣(睾丸)を摘出するのと同じ効果があるといわれています。

抗アンドロゲン剤(内服薬)

精巣(睾丸)から分泌されるホルモンと副腎から分泌されるホルモンを前立腺がん細胞に働きかけないようにする薬です。1日1~3回服用します。

CAB療法

GnRHアナログ製剤の注射と抗アンドロゲン剤の内服薬を組み合わせる治療法です。単独で行う治療よりも効果が高いことが証明されています。この「CAB療法」は、「MAB療法」と呼ばれることもあります。

去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)の治療法

去勢抵抗性前立腺がんの治療法には次のようなものがあります。

抗アンドロゲン剤の休止 服薬していた抗アンドロゲン剤を一度休止することで、治療効果があらわれることがある。
抗アンドロゲン剤の交替療法 抗アンドロゲン剤の種類を変更することで、治療効果があらわれることがある。
エストロゲン剤の投与 男性ホルモンの分泌を抑制することで、治療効果があらわれることがある。
新規抗アンドロゲン剤の投与 ホルモンが前立腺細胞に働きかけないようにすると同時に、前立腺がん細胞内において、増殖に関わる経路を阻害する作用を有する薬剤であり、治療効果があらわれることがある。
アンドロゲン合成酵素阻害剤の投与 精巣、副腎、前立腺がん組織における男性ホルモンの合成を抑えることで、治療効果があらわれることがある。
化学療法 ホルモン療法に反応しない去勢抵抗性前立腺がんに使用することがある。

 

化学療法(抗がん剤療法)

ホルモン療法で再燃がみられた時や、ホルモン療法の効果が芳しくない時は、単独あるいはいくつかの抗がん剤を使った化学療法を行います。タキサン系の抗がん剤の中に前立腺がんに有効であることが証明されているものがあります。また、ステロイド薬とあわせて使われることもあります。