急性骨髄性白血病に対する治療として、化学療法、分子標的治療薬、造血幹細胞移植などが行われます。

化学療法

化学療法は、薬剤(抗がん剤)を用いる治療で、AMLに対して最も広く実施されています。一種類の薬剤を用いる単剤療法、複数種類の薬剤を用いる多剤併用療法があります。薬剤の選択、組み合わせや投与する薬の量は、白血病細胞の特徴、患者さん個々の状態(年齢、内臓の状態、合併症など)から判断されます。
抗がん剤による化学療法は、白血病細胞への効果がありますが、同時に正常な細胞も攻撃してしまうため、様々な副作用があらわれます。主な副作用として、正常造血の抑制(貧血、感染症、出血症状など)、脱毛、吐き気や嘔吐、粘膜障害(口内炎など)、発疹などがあります。投与時には副作用への予防的な対策をとり、投与後には副作用が出ていないかを診察や検査で慎重に観察し、副作用が発現した場合には症状に応じた治療(対症療法)が行われます。

分子標的治療薬

分子標的治療薬は、白血病細胞が持つ特徴的な分子を治療の標的として作られた薬です。標的となる分子によって様々な種類があります。どの薬が適切かは白血病細胞の性質で決められ、例えば白血病細胞がAという特徴となる分子を持つ場合はAを標的とする分子標的治療薬、Bという分子の場合はBを標的とする分子標的治療薬が選択されます。
分子標的治療薬は、標的となる分子を持つ細胞への効果が強く、一般的な抗がん剤と比較して正常な細胞へは影響を及ぼしにくいため、副作用は比較的少ないとされています。それでも副作用はみられ、それは薬剤によって様々です。

造血幹細胞移植

造血幹細胞移植は、造血幹細胞の移植を利用する治療のことで、自らの造血幹細胞移植を用いる「自家移植」と健康な方から採取した造血幹細胞を移植する「同種移植」に分けられます。AMLでは、ほとんどの場合、同種移植が行われます。同種造血幹細胞移植は、移植前に大量の化学療法や放射線療法を行い白血病細胞をできるだけ減少させた後、健康な方からの正常な造血幹細胞を移植して、骨髄の造血を回復させ白血病の再発を抑える治療です。

<同種造血幹細胞移植の種類>

同種造血幹細胞移植は、提供者(ドナー)と患者さんの関係、および移植する造血幹細胞がどのように採取されているかによって分類されます。ドナーが、ご家族の場合は「血縁者間移植」、ご家族以外の場合は「非血縁者間移植」、さらに造血幹細胞の採取方法別に、「骨髄移植」「末梢血移植」「さい帯血移植」があります。

このほかに、移植前の治療(前処置)の強度によって「骨髄破壊的前処置による移植」、「減弱前処置による移植(ミニ移植)」があります。ミニ移植は、前処置の強度を穏やかにします。それでも移植後には、ドナー由来のリンパ球(白血球の一種で、造血幹細胞と同時に移植されたリンパ球、造血幹細胞からつくられたリンパ球がある)によって患者さんの身体の中で免疫反応が起こります。この免疫反応によって患者さんの白血病細胞が攻撃されるGVL効果(移植片対白血病効果)により、白血病細胞の減少が期待されます。
それぞれの利点(ベネフィット)や欠点(リスク)が異なるため、患者さん個々の年齢、病気の状態、全身の活動状態、合併症、HLA(白血球のタイプ)の一致度を含むドナーの条件などを考慮して、移植の適応について検討されます。そして、適応が可能な場合には上記の移植から適切な方法が選択されます。

<造血幹細胞移植の流れ>

造血幹細胞移植の一連の流れは、移植前の処置、造血幹細胞の移植、移植された造血幹細胞による正常造血の回復(生着)、そして移植後の合併症(感染症や様々な免疫反応)などへの対策、白血病や移植合併症からの回復と続きます。
造血幹細胞移植を受けると、造血幹細胞が完全にドナー由来に変わり、それに伴って病原体から身体を守る仕組み(免疫)がドナーの細胞によって新たに作られます。そのため、ドナーの免疫システムを介した免疫反応によって、患者さん自身の細胞が攻撃されるGVHD(移植片対宿主病)が起こる可能性があります。GVHDは時に大きな障害を引き起こすため、これを予防する目的で免疫機能を抑制する免疫抑制剤が使われます。これも感染症が起こりやすくなる原因のひとつです。移植に伴う白血球減少や免疫抑制に伴う感染症を乗り越えるため、造血幹細胞移植は環境が整備された病室・病棟で行われます。

<移植前>

移植前の処置では、白血病細胞の根絶を目的として大量の化学療法と放射線療法を行います。また、移植をうまく成立させるために色々な薬剤を投与します。

<移植と生着>

造血幹細胞の移植は、点滴静注で行われます。赤血球などの輸血に似ています。移植した造血幹細胞が患者さんの骨髄にうまく到達すると、骨髄での造血が始まります(生着)。正常造血が回復すると、血液中に正常な血液細胞(白血球、赤血球、血小板など)が確認されます。

<移植後>

移植後は、ドナー由来のリンパ球(白血球の一種で、造血幹細胞と同時に移植されたリンパ球、造血幹細胞からつくられたリンパ球がある)によって患者さんの身体の中で免疫反応が起こります。この免疫反応によって患者さん自身の細胞が攻撃され、GVHD(移植片対宿主病)が起こる可能性があります。しかし、GVHDと関連して白血病細胞を攻撃するGVL効果(移植片対白血病効果)も期待できます。移植後もGVHD対策として免疫抑制剤を継続します。一方で、免疫の抑制により感染症が起こりやすくなるため、その予防対策も同時に行います。