検査値、自覚症状には、いつも関心を持ちましょう。

糖尿病の基本的な検査

血糖値とは血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことで、1dL(1デシリットル:100cc)の血液に何mgのブドウ糖が含まれているか、という数値で表します。血糖値は食事によって大きく変動するため、検査のタイミングによって、以下のようにいくつかに分けられます。

  • 空腹時血糖値
    10時間以上何も食べずに(水は飲んで良い)、測った血糖値です。血糖値がもっとも低くなるタイミングの 値で、診断と治療効果の判定の両方に用いられます。
  • ブドウ糖負荷試験後の血糖値
    ブドウ糖負荷試験は75gのブドウ糖(またはそれに相当する糖質)を水に溶かしたものを飲み、2時間後まで 何回か採血し、血糖値やインスリンなどの濃度を測る検査です。空腹時と2時間後の血糖値(ブドウ糖負荷後2時間値)が糖尿病の診断に用いられます。
  • 食後2時間血糖値
    食事を始めてから2時間後に測った血糖値です。血糖コントロールの状態、とくに食後高血糖があるかどうかをみるために用いられます。
  • 随時血糖値 
    食事の時間と関係なく測定した血糖値です。正常の場合は140mg/dLをこえることはありません。診断や血糖コントロールの指標に用いられます。

血糖値は、「自己血糖測定器」を使って、自宅で測定することもできます。

血糖値は糖尿病のコントロールの良し悪しを知るための、もっとも大切な指標のひとつです。コントロールの状態の判断のために下の表のような目安が設定されています。

血糖値が低くなりすぎる「低血糖」は、危険な症状を起こすことがあります。低血糖にならないように、適切な治療をするためにも、血糖値を定期的に測ることがとても大切です。

血糖コントロール目標
(65歳以上の高齢者については「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標」を参照)

 

 

 

 

 

 

 

 


治療目標は年齢、罹病期間、臓器障害、低血糖の危険性、サポート体制などを考慮して個別に設定する。

注1) 適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合、または薬物療法中でも低血糖などの副作用なく到達可能な場合の目標とする。
注2) 合併症予防の観点からHbA1cの目標値を7%未満とする。対応する血糖値としては、空腹時血糖値130mg/dL未満、食後2時間血糖値180mg/dL未満をおおよその目安とする。
注3) 低血糖などの副作用、その他の理由で治療の強化が難しい場合の目標とする。
注4) いずれも成人に対しての目標値であり、また妊娠例は除くものとする。

日本糖尿病学会 編・著:「糖尿病治療ガイド2016-2017」p.27,文光堂,2016

HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)

HbA1cは、血液中の赤血球に含まれるタンパク質の一種で、体内に酸素を運ぶヘモグロビンにブドウ糖が結合したものです。これらは一度結合すると、120日間はそのままの状態であるため、過去1~2カ月間の血糖値の平均を反映します。

たとえば受診した日の血糖値が正常でも、HbA1cの値が高ければ、過去1~2カ月間の血糖コントロールは良くなかったことになります。

血糖値とともに血糖コントロールの状態を知ることができ、診断と治療効果の判定の両方に用いられる、代表的で大切な指標です。

尿糖検査

尿糖とは尿に排出されるブドウ糖のことで、血糖値が正常の方では尿糖が出ることはありません。しかし血糖値が160~180mg/dLをこえると、尿糖が排泄されるようになります。つまり、尿糖検査が陽性であれば、血糖値が高いと考えられます。

ただし、尿糖は体質や体調による影響を受けやすいので、判定には注意が必要です。糖尿病の方の血糖コントロールの状態を知る目安になります。

症状が起こる理由

高血糖の状態が続くと、のどが渇いたり、尿の量や回数が増えたりすることがありますが、治療がうまくいき、血糖コントロールが良ければ、こうした症状はほとんどなくなります。

治療を受けているにもかかわらず、こうした症状が現れた時は、治療が適していなかったり、何らかの原因で一時的に血糖のコントロールが悪くなっている可能性があります。

多尿・頻尿

尿の量が多くなり、昼夜を問わずトイレに行く回数が増えるのは糖尿病でよくみられる症状です。血糖値が高くなると、腎臓が血液中のブドウ糖を水分とともに尿として排泄しようと働くために起こります。

 

 

 

のどの渇き 

血糖値が高くなり、腎臓からブドウ糖と水分が尿として排泄されると(多尿)、体内の水分が足りなくなり、のどの渇きを強く感じるようになります。のどの渇きというよりも口の中に粘りを感じるという方もいます。

のどが渇くために水分をたくさんとり(多飲)、その結果、さらにトイレの回数が増えるという悪循環が生じます。

体重減少

糖尿病患者さんは太っているというイメージがあるかもしれませんが、血糖のコントロールが悪いと体重が減ることがあります。インスリンの働きが悪くなり、食事からとった糖質(炭水化物)をエネルギーとして利用できなくなってくると、脂肪や筋肉のタンパク質を分解してエネルギーとして利用してしまうためです。これは、体を作っている大切な成分を消費して活動のためのエネルギーを得ている状態なので、とても危険な状態です。

だるい・疲れやすい

 インスリンの働きが悪くなり、食事の糖質(炭水化物)をエネルギーに変換できなくなって、細胞がエネルギー不足になるために、疲れ・だるさを感じると考えられています。