内容につきましては、ご理解いただきやすいよう部分的に加筆・修正をしております。

 

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Q 2022年4月の国内営業体制変更による現状と短期業績への影響をお知らせください。

A 当社は、2022年4月に国内営業本部を新体制へ移行いたしました。より専門性の高い情報提供、収集活動を目的に、疾患領域、製品を軸とした営業部、具体的には、固形がん、血液がん、関節リウマチ、スペシャリティケア、それぞれの営業部を新設するとともに、その活動を支えるために、営業組織の本社機能をすべて見直しました。また、新たにデジタルコミュニケーション部、コマーシャルエクセレンス部の2部を新設しました。
 4月の営業体制変更であるため、まだその効果を検証することが十分できず、現時点では短期業績への影響を申し上げる段階にはございませんが、新体制は今のところ順調に立ち上がり、機能していると考えています。
 今後、この新体制によって、激しい内外の環境変化の中でも医薬品の「価値」を確実に患者さんへ提供し続けることができると期待しています。

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Q コアベースで除外される連結業績(フルベース)の「その他の費用」1,043億円のうち、AT132、ASP2390、ASP1951を除いても、500億円程度あると思うのですが、どのような費用でしょうか。

A 招集通知23ページに記載のとおり、AT132、ASP2390、ASP1951に関するものとして、2021年度第4四半期に合計477億円の減損損失を計上しました。
 これらのほか、第1四半期から第3四半期にかけて発生したその他の費用としては、DNAワクチンASP0892の開発中止に伴う減損損失として215億円、当社及び国内グループ会社従業員を対象にした早期退職優遇制度にかかる割増退職金として158億円、ゾルベツキシマブの開発計画の見直しに伴う条件付対価の公正価値の増加として70億円などが、その他費用の項目に計上されています。

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Q 緑内障の遺伝子治療プログラムの進捗を教えていただけますか。

A 緑内障の遺伝子治療プログラムに関しましては、ただいま研究段階にあり、臨床開発候補品の選定に向けた各種前臨床試験を、当社の遺伝子治療の中核拠点の役割を担うアステラスジーンセラピーズにて、鋭意実行しているところです。
 研究段階のプログラムの内容及び進捗に関しては、他社との競争の観点から開示しておりません。

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Q 開発品目が数多く失敗しているようだが、問題はどこにありますか。
今後、XTANDI/イクスタンジの特許が切れた後にそれに代わる有力な開発候補品はありますか。

A XTANDI/イクスタンジに代わる有力な開発候補品として、戦略目標1にあるゾスパタ、パドセブ、fezolinetant、ゾルベツキシマブなどの重点戦略製品が、中長期にXTANDI/イクスタンジの売上を埋め合わせていく計画であり、開発の最終段階が順調に進展しています。
 さらに長期的な成長を成し遂げるために、Focus Areaアプローチに基づく研究開発活動に取り組んでいます。Focus Areaアプローチから生み出されましたプログラムは、現在、ヒトにおいて薬剤の有効性、あるいは安全性を見極める前の開発初期の段階にあります。
 一般的に、開発のリスクが最も高いのがこの開発初期の段階です。前臨床段階で用いる動物モデルは、ヒトの病態あるいは病気とは異なるものであり、臨床試験で予期せぬ毒性が発現する、あるいは期待される有効性が確認できない、といった可能性が存在します。まったく新しい疾患ターゲットを追求し、また革新的な技術を活用する場合には、このような傾向が顕著になります。このようなリスクを適切に管理するため、さまざまなメカニズムや技術を網羅する、かなり幅広い初期の研究開発ポートフォリオを構築、準備しています。
 2021年度は、残念ながら臨床での有効性、安全性を確認できたプログラムはありませんでしたが、新たに臨床試験に入る、あるいは臨床試験の準備を開始したプロジェクトが複数誕生しており、Focus Areaアプローチの成果は確実に出てきているものと、自信を持っております。

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Q アメリカのビッグファーマとの技術導入計画には賛成出来ません。何故なら自分達さえ儲かれば後はどうなっても構わないという利益最優先主義で、患者さんや一般国民の事を全く考えていないからです。国内にも優秀な研究機関は多いので、国内優先でお願いしたいのですが。

A 当社において、近年では、ビッグファーマとの技術、製品導入案件はありませんが、提携先が後からビッグファーマに買収されるという事例はいくつか発生しております。例えば、XTANDI/イクスタンジの提携パートナーであったメディベーション社が2016年の夏にファイザー社に買収された事例です。
 パイプラインや技術に関する提携について、国内外を問わず、まず第1に患者さんの「価値」を最大化するために極めて革新的なパイプラインや技術であること、第2に当社の戦略に合致していること、そして第3に当社の持続的な成長や利益に貢献すること、を判断基準とし提携活動を行っています。
 当社は、かねてより国内でのプレゼンスを活用し、大学や各企業との研究開発提携を積極的に行ってまいりました。例えば、現在臨床試験段階の免疫賦活遺伝子搭載腫瘍溶解性ウイルスのASP9801は、2018年3月に鳥取大学から技術導入したものです。また、Rx+®事業プログラムのASP5354も三重大学、名古屋大学から技術導入をしたものです。
 最近では、日本の大学と企業との提携活動がより活発化するとともに、国内発のスタートアップが成長しやすい環境が徐々に整いつつあります。当社は、今後も日本を重要なイノベーションの拠点の一つと位置付けながら、グローバルに、積極的に提携の検討を進めてまいります。

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Q 日本においては人口減少により今後治験実施が難しくなると考えられる。また、人口に対する政策や保険償還制度など、欧米とは環境も異なる。業界の再編成、外資との協働などが必要なのではないかと考えられるが、今後の戦略について示してほしいです。

A 治験計画に関しては、日本のみならずグローバルで総合的な計画を組んでいるため、外資系製薬会社と比べて劣後しているとは考えていません。
 主に抗がん剤などを開発する際には、単剤では十分な有効性が確認できないこともありうるため、開発段階によっては、他社様の薬剤との併用試験を実施することもあります。
 人口減少により、日本における治験実施が難しくなっているという側面はあるかと思いますが、当社は、米国、中国、日本の3カ国で開発拠点を有しており、世界の最適な地域での開発をグローバルに検討しています。
 日本においては、先生方との密な連携を構築し、グローバル製品の開発を、開発の初期段階から積極的に進めており、特に欧米メガファーマと比べて開発能力が劣るとは考えておりません。逆に日本における強みを生かし、日本、あるいはアジア各国での開発を加速することで、当社の強みを最大限に生かしたグローバル開発の展開を進めています。

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Q 前立腺がんに対し、化学療法以外にもロボットを用いた外科手術、重粒子線治療など、新しい治療選択肢が増えてきているが、それらに対するXTANDI/イクスタンジの優位性は何であるか。XTANDI/イクスタンジの成長にまだ伸びしろがありますか。

A 前立腺がんに対しては、化学療法以外にも、XTANDI/イクスタンジをはじめとして革新的な薬物も出ており、外科手術の技術も進歩しています。しかしながら、外科手術や放射線療法において、がん細胞を完全に死滅させることは難しく、外科手術後、何年か経って再発し、残念ながらがん細胞が全身に広がってしまったような事例も多く見受けられます。このような場合には、薬物治療が最大の武器となります。
 長期にわたる治療にはさまざまな選択肢が必要であり、XTANDI/イクスタンジ、あるいはほかの薬物も患者さんの延命に貢献をしていると考えています。
 XTANDI/イクスタンジの発売開始から10年ほど経ちますが、非常に末期の患者さんに対するデータ取得から始まり、その後早期のがんに対する有効性、安全性のエビデンスを積み上げ、現在は、幅広い患者層の適応ならびに各国での保険償還を取得し、いまだにXTANDI/イクスタンジの売上は世界で拡大しています。
 新しいデータとしては、早期にXTANDI/イクスタンジを使った場合の生存率について米国の臨床がん学会(ASCO)で発表されました。
 化学療法や他の治療では、クオリティ・オブ・ライフ(QoL、生活の質)の面で十分な満足度が得られてない患者さんがいらっしゃる点に、アンメットニーズがあることを確認しています。
 XTANDI/イクスタンジによる生存率の延長やQoL改善に関するデータを先生方に提供することによって、さらにこの薬剤で多くの患者さんに対して、より良い生活、治療を提供していきたいと考えています。

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Q ロボットを用いた創薬研究の経済的メリットについて教えてほしいです。

A 当社の創薬研究において、AIあるいはロボティクスを活用した、いわゆるデジタル創薬を推進しており、開発候補品を選定するまでの期間の短縮、あるいは効率化を図っています。
 化合物の最適化にかかる期間を、通常2年のところを1年以内に短縮する、人では構築することができないような試験をロボットが行う、などの成果が出始めています。
 経済的なメリットに関しては、まだ導入しているロボットの数がそれほど多くないため、今のところ大きなものではありませんが、このような活動を推進し、明確な経済的メリットが得られるような体制にしていきたいと考えています。

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Q MR、MSL、オンラインMRなど多様化する医療現場への情報提供体制について、現在の取り組みを教えてほしいです。
(MR: 医療情報担当者、MSL: メディカル・サイエンス・リエゾン)

A エリア担当制から製品担当制へ日本の営業組織を変えました。それに加え、デジタルチャンネル、あるいはメディカルアフェアーズとの強化を目的に、コマーシャルエクセレンス部、それからデジタルコミュニケーション部を新設しました。
 このような組織体制のもと、AIなどを活用し、先生方のニーズ、先生方の行動パターン、思考パターンを分析し、結果をMRにフィードバックしております。MRはその情報をもとに、先生の嗜好に合わせた情報提供を行っています。
 対面での面談のみ、あるいはデジタルのみならず、最適な情報提供を進化させていくために日々努力しております。

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Q コアベースの連結業績に関し、コア営業利益、コア当期利益が、地政学上の問題で減益になったという説明があったが、予期せぬことがたまたま起きたためと理解してよいのですか。今後は売上が伸びると営業利益、当期利益も伸びると解釈してよいのですか。

A 期を通じて円安になれば、円で決算をしている当社にとってはプラスになるのが普通ですが、2021年度は、年度末にかけて急激な円安になりました。結果として、物資を調達する、あるいは製造するところに円安の効果が働き、調達した物資を用いて製造した製品を実際に販売することによる円安効果を享受するには時間が少なかったことにより、2021年度におきましては、円安が決算にはマイナスの方向に働きました。
 ウクライナ、ロシアの問題では、2つの地域を合わせて全体の2%弱の売上収益がありますが、若干の影響を受けています。ウクライナの従業員に対しては、ビジネス優先ではなく身の安全を優先し、国外への退去等をサポートしました。数年前まではコストを重視した原材料の調達、あるいは製造を目指していましたが、この地政学上の問題によってコストばかりを追求してはいられず、安定的に製造、そして薬物を全世界に供給するという、新たな調達物流システムを構築するため様々な取り組みを行い、原材料のコスト上昇、あるいは在庫の持ち方等にも影響がありました。
 この他、組織健全性目標を新たに立ち上げ、投資を行いました。
 また、fezolinetant、ゾルベツキシマブという後期開発品の治験が順調に進んでおり、2021年度から全世界での色々な発売準備の活動に投資する判断をしました。

 これらがすべてあいまって、販管費の上昇に繋がりましたが、多くのものは将来の成長に繋がるもの、あるいは戦争や急激な円安など一時的な要因に起因するものであったと理解しています。

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Q 招集通知24ページ記載の「価値」に関し、アウトカムをどのように測定し、どのように活用しているのか、教えてほしいです。

A 当社の、科学の進歩を患者さんの「価値」に変えるというVISIONを実践していくに当たり、ハーバードビジネススクールのポーター先生の投資対効果(リターン・オン・インベストメント)という概念を導入し、分子には患者さんにとって真に意味のあるアウトカムを、分母にはそのアウトカムを提供するためにヘルスケアシステム全体が負担すべきコストを置いた、分数の形で「価値」を表現しています。
 研究開発の初期の段階では、アウトカムあるいはコストをいくつかの要素に分解して、その時点の標準治療と定性的に比較分析を行います。開発が進展するに従い、例えばアウトカムであれば、有効性が標準治療と比べてどれぐらい勝っているのかというデータが順次出てきます。そのデータを充実させながら、具体的にどんな「価値」を生み出しているかを測っていくようにしています。したがいまして、極めて初期の頃から、われわれの製品のどういうところが優れており、どういうところを改善しなければいけないかということを狙い定めながら、それに従って研究開発を行っています。
 今回このような定義を用いた一つの大きな理由として、製薬会社はアウトカムを改善するところは長けていましたが、サステナブルなヘルスケアを前提に考えると、実際には分母をどうしたら小さくできるのかを念頭に置きながらやっていかなければいけない、と考えたことがあります。分母であるヘルスケアシステム全体のコストの中には、直接的なコスト(例えばお薬の費用、それから手術の費用、入院の費用)と、間接的なコスト(病院等の施設や保険償還制度などの医療提供体制を維持するための費用、患者さんを支えるご家族や医療従事者の方々にかかる負担など)が含まれます。したがって、例えば1カ月間入院しなければならない治療よりも、週に1回通院すれば済む治療のほうがコストは減ってきますし、あるいはお薬を自分で飲めば済む経口剤であれば、実際に病院に行って注射をするものよりも、より「価値」が高いものとなります。このような考え方を頭に置きながら、製品の研究開発を行っています。

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Q 中国の新型コロナウイルス流行に伴うロックダウンの事業に対する影響について、教えてほしいです。

A 上海、北京を中心にロックダウンにより、活動は厳しく制限されています。しかしながら、中国においては、日本、アメリカ以上にデジタルアクティビティ、あるいはリモートアクティビティが浸透しています。確かに制限は出てきておりますが、営業活動も続けており、これによって短期的に大きなマイナス要因は出てきていません。
 特に今、中国で注力している薬剤であるXTANDI/イクスタンジ、ゾスパタ、プログラフに関しては、先生方との強い信頼関係もあり、今のところ、短期的な大きなネガティブ要因は出ていません。ただし、活動としては厳しく制限されており、当社としては、政府の指導に基づき、活動できる範囲の中で実施しています。

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Q 株主総会前日(2022年6月19日)に石川県で発生した地震の事業に対する影響について、教えてほしいです。

A 6/19の地震は能登半島では震度6でしたが、当社の工場の拠点がある富山県の富山市と高岡市は震度2または3であり、被害の報告は受けていません。

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Q 日本の製薬会社では、武田薬品や第一三共、塩野義などの会社がコロナワクチンや治療薬の開発を行っているようですが、報道などで当社の名前を耳にすることはありません。当社では、コロナウイルスやその他感染症に対する新薬開発は行わないのですか。

A 当社では、研究開発の戦略上、新型コロナウイルス感染症のワクチンや治療薬を直接指向した研究開発は行っていません。
 一方、政府の要請に応じた医薬品や化合物の提供、官民パートナーシップへの参画など、外部関係機関と連携しながら、新型コロナウイルス感染症に関する課題解決に対応、貢献しています。
 当社で開発、販売中の薬剤を新型コロナウイルス感染症の治療薬等に用いる可能性を評価、検討するなど、引き続き当社の強みを生かした形で、治療薬等の研究開発に貢献していく方針です。

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Q 新型コロナウイルス感染症の流行がいまだ収束せず、ウィズコロナの状況が定常化しつつあります。そのような中、各企業は、新たな働き方を模索しているというニュースをよく耳にします。アステラスでは、ウィズコロナでの働き方に対し、現在どのように取り組み、今後どのように対応するつもりなのかを教えてください。

A コロナウイルス感染拡大前から、在宅勤務と出社勤務を適切に組み合わせて使える制度を導入し在宅勤務制度を柔軟なものにしておいたことで、急な変更なく対応ができています。
 一方、出社勤務によるメリット、例えば人材育成など、社員同士のネットワーク作りの重要性も見直されており、各部門の特性に合わせた在宅勤務と出社勤務のベストバランス、社員同士のコミュニケーションを促す職場作りにも取り組んでいます。
 コロナが落ち着いても、コロナ以前の出社中心の働き方に戻ることは想定しておらず、世界中の社員がそれぞれの場所で最適な働く場所、方法を選択することになると考えています。

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Q ESGのうち、Sは当社の本業ですが、Eについて、医療で蓄積された知見、技術を生かして、脱炭素にも事業展開して、地球環境に貢献できる分野、意思はありますか。あるいは事業の選択と集中から、脱炭素分野への事業展開は検討外ですか。

A 現在のところ、医療で蓄積した知見、技術を生かして、脱炭素事業を行う計画、アイデアはありません。
 環境につきましては、当社の重要な関心事項です。水力発電で作られた電力のみを購入する、あるいはアイルランド等の工場では風力発電でほとんど電力を賄う、あるいは場所によっては地熱発電等も利用するなどの、脱炭素の試みを種々行っています。
 また、営業車両を電気自動車、あるいはハイブリッド型への進展も進めており、脱炭素につきましては、今後もいろいろアイデアを絞っていきたいと思っています。

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Q 具体的なデジタルトランスフォーメーションの取り組みについて教えてください。

A 経営計画2021の3つの要素である戦略目標、組織健全性目標、成果目標をうまく回していくために、3つの経営計画2021達成の要を定めておりますが、デジタルトランスフォーメーションはそのうちの1つになります。
 当社では、次のように、創薬から市販後の製品価値の最大化に至るまで、あらゆるところでデジタルトランスフォーメーションを行っています。
・創薬:ロボットとAIを活用し高速に作業を回していくMahol-A-Ba
(Mahol-A-Ba:汎用ヒト型ロボット「まほろ」を軸に開発した、アステラス独自の細胞創薬プラットフォーム)
・開発:これまで患者さんが直接医療機関にかからなければ臨床試験に参加できなかったものをできるだけその負荷を減らす、Decentralized Clinical Trial
・製造:工場で得られるさまざまなデータを事前にAIを介して解析した上で、より効率的、かつ安全な製造に繋げていく取り組み
・営業活動:MRやMSLが医療従事者とより効率的かつ効果的にコンタクトできるような仕組み
・会社を支えるコーポレートサポート業務:これまでの各極でばらばらになっていたプロセスや仕組みをすべてグローバルに統一して、より効率的な業務が行えるような仕組みの導入
また、サイバーセキュリティにおいては人間がマニュアルで対応するのではとても対応が遅くなるため、よりデジタルを活用して、早い段階で怪しいものを検知し、こちらから対処するという点でデジタルトランスフォーメーションを活用しているところです。
(MR: 医療情報担当者、MSL: メディカル・サイエンス・リエゾン)

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Q DXの積極的な活用を戦略目標3として挙げられています。戦略目標3では、国内戦略の記載のみですが、本目標のグローバルな展開について教えてください。

A 戦略目標3として取り組むRx+®事業は、当社が医療用医薬品の事業、Rxビジネスで積み重ねてきた知見や経験を異分野の技術やノウハウと組み合わせて、新たなヘルスケアソリューションを作っていくものです。ここはデジタルとの相性が非常に良いところですので、Rx+®プログラムで実際にこれから臨床試験が始まるものとして次のような取り組みがあります。
・デジタルセラピューティクスと呼ばれるアプリケーションを使って治療に役立てていくアイデアに関する取り組み
・2020年に買収したアイオタ・バイオサイエンシズの技術を用いた、侵襲性が非常に低い超小型のデバイスを体内に埋め込んでのセンシング情報の収集、逆にデバイスから神経などへの信号送信、そして、バッテリーを抱えて歩かなくても体外からデバイスに給電できるクローズドループの仕組みに向けた取り組み
・なかなか製薬会社とは結びつきにくいところではあるのですが、皆さんが非常に楽しまれるビデオゲームを上手に医療の世界に持ち込むことで、これまでなかなか治療が続かなかった患者さんに治療を続けていただける仕組み作り、あるいは何か困った時にすぐに手が挙げていただけるような仕組み作り、があります。

 Rx+®は、例えばアイオタ・バイオサイエンシズは米国のサンフランシスコを拠点とした会社であり、さまざまな取り組みをグローバルな観点から続けているところです。

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Q XTANDI/イクスタンジへの寄与度がかなり高いようですが、この薬の存続期間を含めた知財権の獲得状況はどのようになっていますか。十分に事業に貢献できるものになっていますか。

A 主要な地域のXTANDI/イクスタンジの物質特許の満了時期は、米国においては2027年8月、欧州においては2028年6月、そして日本においては2029年7月です。
 知財の観点から、これら特許に対する侵害に関して、現在のところ大きなリスクがあるとは考えていません。
 当社が現段階で考えるXTANDI/イクスタンジのグローバルでのピーク時売上は6,000億円から7,000億円であり、さらに成長を見込んでいます。

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Q エベレンゾの国内販売戦略は苦戦しているが、今後どのように軌道修正していくべきか、教えて欲しいです。

A 2021年度のエベレンゾの売上は伸長しましたが、残念ながら、予測に対して未達でした。
 9月に競合品の投薬制限が解除された後に、競合品のHIF-PH阻害剤のシェアが想定以上に増加したのが要因です。
 2022年度以降の対応としては、国内の営業組織体制を変え、より専門性の高い部隊を編成しています。これによって、より専門性の高い担当者がターゲット施設を訪問することによるMRの営業力強化に加え、市場上位を占める施設を重点施設と位置付け、リソースを重点的に配分して対応していきたいと考えています。
 腎臓内科に次ぎ腎性貧血を診療されているケースが多い循環器科も新たに活動対象に加えることにより、保存期でのシェア拡大を図っていきたいと考えています。
(MR:医療情報担当者、HIF:低酸素誘導性因子(Hypoxia-Inducible Factor)、HIF-PH:HIF-プロリン水酸化酵素)

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