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胃潰瘍・十二指腸潰瘍

2.原因

ピロリ菌や非ステロイド性抗炎症薬などの影響で胃・十二指腸の粘膜が傷害されることで起こります。

胃酸と胃粘膜の働き

胃潰瘍がなぜ起こるかを理解するために、まずは消化における胃液と胃粘膜の働きをみてみましょう。

口から胃に送りこまれた食物を消化するために、胃壁から胃液が分泌されます。胃液の主な成分は、強力な酸である胃酸と消化酵素のペプシノーゲンですが、この胃酸によって胃の中は酸性に保たれています。胃の中が強い酸性であるため、胃に送りこまれた食物は溶けて柔らかくなり、胃に進入した細菌は殺菌されています。

胃酸は、食物を溶かすほどの強い酸ですが、通常、胃酸が自分の胃壁を傷つけることはありません。これは胃壁の表面にある胃粘膜が、粘液やアルカリ性の物質および粘膜細胞を保護する物質(プロスタグランジン類)を出したり、また酸や老廃物を除去したりして、胃酸から胃を守っているためです(胃粘膜の防御機構)。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因

胃潰瘍は、主として胃粘膜の防御機構が弱まることで起こります。ピロリ菌感染、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)やストレスにより防御機構が弱まって胃粘膜に傷ができ、それが潰瘍に進みます。一方、十二指腸潰瘍は、胃酸の分泌が高くなり、それが胃酸の攻撃に対する抵抗力が弱い十二指腸の粘膜を傷つけて起こります。ピロリ菌感染も十二指腸の粘膜を弱めます。また、脂肪分の多い食事などが、胃酸の分泌を増やすことに繋がります。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の三大原因を以下の図に示しています。原因として最も多いのはピロリ菌感染で、次いで非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であり、ストレスは、それだけで胃潰瘍・十二指腸潰瘍を起こすことは少ないものの、ピロリ菌感染のある方はストレスがあると胃潰瘍・十二指腸潰瘍を起こしやすくなります。胃酸はどの原因が関係する場合でも、胃粘膜の傷の修復を妨げ、潰瘍を悪くします。

一般に、日本人には胃潰瘍が多く、欧米人には十二指腸潰瘍が多いといわれています。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の三大原因

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の三大原因の図 拡大する

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)

ピロリ菌の電子顕微鏡写真ピロリ菌の電子顕微鏡写真
(東京顕微鏡院 伊藤武博士提供)
以前は、強い酸性の胃の中には、細菌は生息できないと考えられていました。しかし、ヘリコバクター・ピロリ菌という胃粘膜に生息する細菌が存在すること、さらに十二指腸潰瘍患者の90%以上、胃潰瘍患者の70〜80%がこのピロリ菌に感染していることからピロリ菌が胃潰瘍・十二指腸潰瘍を起こしていることが分かり、現在ではピロリ菌に感染することが胃潰瘍・十二指腸潰瘍の最大の原因であると考えられています。

ピロリ菌が胃潰瘍を起こす仕組みと、十二指腸潰瘍を起こす仕組みはそれぞれ異なると考えられています。胃潰瘍では、ピロリ菌は、胃の中の尿素からアンモニアを作り、胃酸を中和することによって、強い酸性の胃の中に住み着いていますが、このアンモニアは胃粘膜を傷つけます。また、ピロリ菌の感染によって胃粘膜に有害な活性酸素が多く作られるようになり、粘膜は傷つきやすくなります。さらにピロリ菌が出す毒素によっても、胃粘膜は傷つけられます。このようにピロリ菌によるさまざまな影響で、胃粘膜に傷ができ、その部位が胃酸の刺激を受け続けて、傷が深くなることによって、胃潰瘍が引き起こされます。

一方、十二指腸潰瘍は、胃酸の分泌が高い方に起こります。胃酸の分泌が高いと、十二指腸に胃の粘膜が出来てきます。ピロリ菌が十二指腸に流れ出ると、十二指腸に出来た胃の粘膜にくっつき、その粘膜を弱らせます。そして胃粘膜に比べて酸に対する抵抗力が弱い十二指腸に胃酸が流れ込むと、その攻撃で十二指腸潰瘍ができると考えられています。

ただし、ピロリ菌に感染している方が必ず胃潰瘍・十二指腸潰瘍になるわけではありません。実際に潰瘍ができるのは、ピロリ菌感染者の2〜3%程度といわれています。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)

解熱、鎮痛、炎症を抑えることなどを目的に使われている非ステロイド性抗炎症薬(NSAID:エヌセイド)により、胃潰瘍・十二指腸潰瘍になることがあります。

非ステロイド性抗炎症薬による胃潰瘍は、痛みなどの症状を感じないままに進行し、突然、吐血や下血などを起こすことがあります。非ステロイド性抗炎症薬を飲んでいる方は、主治医と相談し、定期的に検査を受けるなど、胃潰瘍に注意することが勧められます。

非ステロイド性抗炎症薬の作用と使われる病気

非ステロイド性抗炎症薬の作用と使われる病気の表 拡大する

低用量アスピリン(抗血栓療法)

脳卒中や心筋梗塞などの発作を起こした患者さんは、発作の再発予防のために少量のアスピリン(低用量アスピリン)を長期にわたって飲み続けることがあります。少量とはいえアスピリンも非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の一種であり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が引き起こされることがあります。

ストレス

挿絵 胃や十二指腸などの内臓の働きは自律神経によって調節されています。強い肉体的ストレスや精神的ストレスを受けると自律神経の働きが乱れ、粘膜の血流が悪くなって粘膜が傷つきやすくなり潰瘍を生じます。

1995年に阪神淡路大震災が起こりましたが、その後2ヵ月間の周辺地域の胃潰瘍・十二指腸潰瘍の患者さんを前年と比べたところ、明らかにその数が多くなっていることが分かりました。震災被害が大きい方ほど、潰瘍の程度も悪くなっていることも分かり、ストレスと胃潰瘍・十二指腸潰瘍の深い関係があらためて示されました。


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