褒賞受賞者からのメッセージ



褒賞受賞者からのメッセージ

平成28年度
最優秀理事長賞ならびに優秀発表賞受賞者 鈴木一博
所属機関:大阪大学 免疫学フロンティア研究センター 免疫応答ダイナミクス研究室
研究テーマ:交感神経による適応免疫応答の概日リズム制御
この度は最優秀理事長賞ならびに優秀発表賞を賜り大変光栄に存じます。私は2011年に独立した研究室を立ち上げた際に、専門である免疫学に軸足を置きながらも新しい方向性の研究に挑戦したいとの思いから、それまで解明が進んでいなかった神経系による免疫調節のメカニズムを中心テーマの一つに据えました。リンパ球は病原体の侵入に備えるため、リンパ節を中継基地として全身を巡回しています。我々はこれまでに、交感神経の活動性が高まると、リンパ球がリンパ節に引き留められるという現象を発見し、そのメカニズムを明らかにしていました。しかし、この仕組みが免疫応答においてどのような意味を持つのかは不明でした。そこで今回助成いただいた研究では、この問題を解決することを目的としました。
交感神経の活動性には、身体の活動性が高まる時間帯に上昇するという日内変動があります。我々は、交感神経によるリンパ球の動態調節の仕組みが、交感神経の活動性が高まる時間帯にリンパ球をリンパ節に引き留め、より強い免疫応答を引き起こすのに寄与していることを明らかにしました。多くの動物にとって、1日のうちで身体の活動性が高まる時間帯は病原体に遭遇するリスクも高まる時間帯です。そのような時間帯により強い免疫応答を起こす準備ができているということは、感染防御の観点から理にかなっています。したがって、交感神経の活動性に応じて形成される免疫応答の概日リズムは、神経系と免疫系が相互作用しながら進化する過程で編み出された生物の生存戦略の一つなのかも知れません。
ほぼ手探りで始めた我々の研究が、この助成研究を通してはっきりとした輪郭を得たという手ごたえを感じております。このような我々の新しい研究への挑戦をご支援いただいたことに深く感謝いたします。今後も神経系による免疫調節機構の解明を推し進め、生命科学の新領域を開拓したいと思います。
最優秀理事長賞受賞者 竹本(木村)さやか
所属機関:名古屋大学環境医学研究所神経系T分野
研究テーマ:カルシウム依存的リン酸化経路による新規情動制御機構
この度は最優秀理事長賞を授与頂き誠にありがとうございました。報告会では多岐にわたる興味深い報告が続きましたので、受賞のお知らせを頂いた際には、大変光栄に思い喜びもひとしおでした。
本研究は、私が大学院生の時に全長を同定したリン酸化酵素について、脳内の特定神経回路における機能を、ウイルスベクターや遺伝子改変動物などを用いて明らかにする課題です。そのために必要な新たな技術として脳内神経活動の可視化技術の確立にも取り組みました。大学院当初には、クローニングやin vitroでのリン酸化アッセイを行い、その後培養神経細胞における研究を推進、そして本課題では脳内特定神経細胞群における機能解明を目指しました。同じ酵素の研究を20年近く続けていることになりますが、研究分野や技術の発展とともに研究の階層も広がり飽きることもなく継続しており、このような研究テーマに初期に出会えたこと、新しい技術を取りいれながら研究を継続することのできる研究環境に恵まれたことは、大変幸運だったと感じます。これもひとえに、ご指導を頂いた先生方、共同研究者の皆様のお陰であり、深く感謝しております。
申請書を提出した2年程前は、名古屋大学での独立が決まり新たな研究室での実験が軌道にのるか、暗中模索の状態でした。この期間に、研究環境を整え、メンバーの頑張りに支えられ、実験面では多くのことができるようになりました。研究室としてこれからが本当の意味でのスタートだと思います。本受賞を励みに、ご支援頂いた課題を一層発展させるとともに、同じように息の長い研究の種を見つけて芽生えさせ、独創性の高い研究へと結実させていきたいと、決意を新たにしております。 末筆となりますが、このような素晴らしいご支援と最優秀理事長賞の授与を賜り、選考委員の先生方ならびに貴財団関係者の皆様に心から御礼申し上げます。
竹中奨励賞受賞者 宮地孝明
所属機関:岡山大学 自然生命科学研究支援センター ゲノム・プロテオーム解析部門
研究テーマ:VNUT特異的阻害剤の開発とその薬学的応用
この度は私の研究をご支援して頂き、また、竹中奨励賞に選出して頂き、厚くお礼申し上げます。私の研究テーマが選ばれましたことを大変光栄に思うとともに、この賞の名に恥じない研究をしなければと身の引き締まる思いです。私はこれまでトランスポーター生化学を基軸に研究に取り組んできました。トランスポーター(輸送体)の普遍的な輸送活性評価法の構築により、ほ乳類の神経伝達物質トランスポーターの輸送機能を複数同定し、その生理的役割を明らかにしました。植物で初めてのビタミンCトランスポーターの同定等にも成功し、この方法は、様々な真核生物のトランスポーターの解析に有効であることを実証しました。
一方で、トランスポーターの新しい生理機能やその創薬標的としての意義が明らかになったにも関わらず、実際に薬ができていないことに、私はもどかしい気持ちがありました。大学で薬学部に入学した動機が、「薬を通じて病気で苦しんでいる人を助けたい」という気持ちであったことも、その理由の一つです。
そこで私は、これまでの応用研究としてトランスポーター創薬を目指し、本研究企画を応募しました。その結果、これまでの基盤技術を発展させ、VNUT阻害剤を同定し、その作用メカニズムを明らかにし、慢性痛、糖尿病、慢性炎症等、複数の疾患に対する有効性を実証することができました。その治療効果は、予想よりもはるかに有効であり、さらに、副作用が小さいことがわかりました。この時、トランスポーターの未知の研究領域の中に、有望な創薬標的がまだまだ残されていることを強く実感しました。
以上の研究成果が基盤となり、日本医療研究開発機構PRIME(脂質領域)に新たな研究プロジェクトが採択されました。今後は、疾患予防という視点を取り入れ、トランスポーターを標的にした機能性脂質代謝物を同定し、その分子メカニズムに基づく医療基盤を構築していきたいと考えています。これからも助成して頂いた研究を大きく育てるべく、日々努力していきたいと思います。
優秀発表賞受賞者 小川美香子
所属機関:北海道大学 大学院薬学研究院 生体分析化学研究室
研究テーマ:がんを特異的に「見る」「操る」システムの構築
この度は、公益財団法人アステラス病態代謝研究会第47回研究報告会にて優秀発表賞をいただき、大変光栄に存じます。発表会では、がんのイメージングと治療を可能とする、新しいメカニズムに基づく薬剤についての発表をさせていただきました。
研究報告会の行われた建物の重厚な雰囲気に飲み込まれつつも、普段聞くことができない様々な分野の先生方のお話を興味深く拝聴しながら自分の出番を待っていたのですが、休憩時間に建物内を徘徊していると、少し前に放送されていた某人気ドラマの撮影に使われていた場所を発見。発表前にも関わらず、ひとりほくそ笑んでしまいました。そして思い返してみると、そのドラマは、夢を持って研究開発に一途に取り組む研究者が、やがて大きなことを成し遂げるというストーリーでした。
昨今、私は研究費のための研究をしているのではないかと、ふと思うことがあります。学位をとって間もないころの純粋な夢や研究の楽しみを、どこかに仕舞いこんでいる気がするのです。特に、新しい研究室を立ち上げたばかりの時期には資金が必要です。そんな折、アステラス病態代謝研究会の研究助成金に採択いただきました。研究の対象や範囲が詳細に定められている研究費が多い中、アステラス病態代謝研究会の応募要領には「領域は特に問いません」と記載されています。また、早急な臨床応用など「出口」がすぐそこに見えていることも要求されません。そこで、夢を持ってじっくり取り組みたいことを研究の対象とし応募しました。そして、本助成金による研究成果は次の大きなステップへの礎となり、現在、さらに発展しつつあります。
まだ件のドラマのような大きな成果には至っていませんが、初心を忘れず楽しく一途に挑戦を続けていきたいと思います。最後に、ご支援と賞を賜りましたことに感謝申し上げますとともに、アステラス病態代謝研究会の益々のご発展を祈念いたします。
優秀発表賞受賞者 渡邉力也
所属機関:東京大学 大学院工学系研究科応用化学専攻
研究テーマ:膜輸送体のための先端計測技術の開発
この度は平成27年度研究報告会にて優秀発表賞を頂きましたこと、大変光栄に存じます。また、諸先生方から頂いた激励の言葉に感謝いたしますとともに、今後も初心を忘れず、研究活動に精進して参りたい所存です。
私は工学部の機械工学科出身で、半導体製造技術に立脚した、マイクロバイオ分析チップの開発を専門としております。近年、半導体製造技術は、LSIなどに代表される電気回路の集積化だけでなく、試験管や流路などのバイオ分析回路を集積化したマイクロチップの製造を実現しております。私どもが専門とするマイクロチップを利用したバイオ分析技術は、従来の生化学分析の感度や効率を大幅に高めるだけでなく、digital PCRなどに代表される革新的な分析装置へと発展しており、新しいバイオ分析の潮流を作りつつあります。この新しい潮流を先導するため、私どもは御財団の支援により、生体膜を高度に集積化した新しいマイクロチップの開発を行いました。当該マイクロチップは、膜タンパク質の機能解析はもちろんのこと、薬物動態の指標となる生体膜透過性の定量解析をも実現する革新技術といえます。今後は当該技術の社会還元を目指すべく、創薬や医療などへの応用展開を行う予定です。
現在、若さあふれるメンバーとともに研究に打ち込んでおります。若さゆえの勢いをもとに、これからも新しいマイクロ分析チップの開発を基盤とし、膜タンパク質の基礎・応用研究を推進して参りたいと思います。最後に、研究のご支援と賞を賜りましたことに感謝申し上げますとともに、御財団の益々のご発展を祈念いたします。

平成27年度
最優秀理事長賞ならびに優秀発表賞受賞者 有本博一
所属機関:東北大学 大学院生命科学研究科 分子情報化学分野
研究テーマ:個体の寿命を制御する内因性分子の研究
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最優秀理事長賞受賞者 古屋敷智之
所属機関:神戸大学 大学院医学研究科 薬理学分野
研究テーマ:ストレスにおける神経グリア相互作用の分子実体の解明
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竹中奨励賞受賞賞ならびに優秀発表賞受賞者 宮成悠介
所属機関:岡崎統合バイオサイエンスセンター 核内ゲノム動態研究部門
研究テーマ:核内クロマチン動態を制御する因子の同定
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優秀発表賞受賞者 津田誠
所属機関:九州大学 大学院薬学研究院 ライフイノベーション分野
研究テーマ:ATPによる痒みの神経メカニズムの研究
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平成26年度
最優秀理事長賞受賞者 中川勇人
所属機関:東京大学 大学院医学系研究科 消化器内科
研究テーマ:炎症・ストレスによる多重並行ヒットとNASH発癌
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最優秀理事長賞受賞者 西田基宏
所属機関:自然科学研究機構 岡崎統合バイオサイエンスセンター
研究テーマ:活性硫黄を標的とした心血管病予防治療法の開発
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竹中奨励賞受賞者 丸山健太
所属機関:大阪大学 免疫学フロンティア研究センター
研究テーマ:破骨細胞融合阻害活性を持つ液性因子の同定
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優秀発表賞受賞者 高橋弘雄
所属機関:奈良県立医科大学 先端医学研究機構 脳神経システム医科学分野
研究テーマ:嗅覚を用いた脂質代謝異常の治療法の開発
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優秀発表賞受賞者 林悠
所属機関:筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構
研究テーマ:レム睡眠の意義の開明
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優秀発表賞受賞者 松井広
所属機関:東北大学 大学院医学系研究科 新医学領域創生分野
研究テーマ:脳虚血神経障害発生メカニズムの解明と光制御の可能性
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平成25年度
最優秀理事長賞受賞者 河村和弘
所属機関:聖マリアンナ医科大学 婦人科
研究テーマ:早発閉経の卵胞活性化に着目した新規不妊治療の開発
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最優秀理事長賞受賞者 久原篤
所属機関:甲南大学 理工学部 生体調節学
研究テーマ:動物の低温耐性の分子生理メカニズム
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最優秀理事長賞受賞者 林久允
所属機関:東京大学 大学院薬学系研究科 分子薬物動態学教室
研究テーマ:小児性肝内胆汁うっ滞症の新規診断法及び治療薬の開発
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竹中奨励賞受賞者 井手上賢
所属機関:熊本大学 大学院自然科学研究科 生命科学講座
研究テーマ:セントロメア由来RNAによる染色体分離制御の解析
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平成24年度
最優秀理事長賞受賞者 国嶋崇隆
所属機関:金沢大学 医薬保健研究域薬学系 生物有機化学研究室
研究テーマ:薬物標的となる未知タンパク質の高感度検出法の開発
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最優秀理事長賞受賞者 華山力成
所属機関:大阪大学 免疫学フロンティア研究センター 免疫ネットワーク
研究テーマ:食細胞による死細胞除去のシグナル伝達機構の解明
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竹中奨励賞受賞者 伊原伸治
所属機関:国立遺伝学研究所 構造遺伝学研究センター 多細胞構築研究室
研究テーマ:基底膜の穴のサイズに破綻をきたした変異体の確立
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平成23年度
最優秀理事長賞受賞者 河崎洋志
所属機関:東京大学 大学院医学系研究科 神経機能解明ユニット
研究テーマ:感覚神経系を用いた選択的神経回路の形成メカニズム解析
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最優秀理事長賞受賞者 新田剛
所属機関:国立国際医療研究センター研究所 免疫病理研究部
研究テーマ:胸腺皮質上皮細胞の分化メカニズムの理解に基づくT細胞のレパートリー制御
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平成22年度
最優秀理事長賞受賞者 石井優
所属機関:大阪大学 免疫学フロンティア研究センター 生体イメージング研究室
研究テーマ:破骨細胞の遊走・位置決めを標的とした新しい骨吸収性疾患治療薬の開発
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最優秀理事長賞受賞者 藤木亮次
所属機関:東京大学 分子細胞生物学研究所 核内情報研究分野
研究テーマ:核内糖修飾による血球細胞分化制御の応用
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平成21年度
最優秀理事長賞受賞者 井垣達吏
所属機関:神戸大学 大学院医学研究科 細胞生物学分野
研究テーマ:上皮の内在性癌抑制システムを司る細胞競合機構の解明
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最優秀理事長賞受賞者 西野邦彦
所属機関:大阪大学 産業科学研究所 感染制御学研究分野
研究テーマ:感染時における細菌および宿主防御システム動作原理の解明
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平成20年度
最優秀理事長賞受賞者 生沼泉
所属機関:京都大学 大学院生命科学研究科 生体システム学分野
研究テーマ:Rasファミリー G 蛋白質R-Rasによる細胞接着因子受容体の活性化分子機構の解明とがんの浸潤・転移の阻止への応用
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最優秀理事長賞受賞者 近藤久雄
所属機関:九州大学 大学院医学研究院 分子生命科学系部門 細胞工学
研究テーマ:細胞内小器官・小胞体の形成維持の分子機構
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最優秀理事長賞受賞者 酒井寿郎
所属機関:東京大学 先端科学技術研究センター 代謝内分泌システム生物医学分野
研究テーマ:抗肥満効果とケトン体代謝におけるミトコンドリア型アセチル-CoA合成酵素の機能解析
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平成19年度
最優秀理事長賞受賞者 池水信二
所属機関:熊本大学 大学院医学薬学研究部 機能分子構造解析学分野
研究テーマ:構造生物学的手法を用いた関節リウマチの坑炎症薬の開発
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最優秀理事長賞受賞者 三浦正幸
所属機関:東京大学 大学院薬学系研究科 遺伝学教室
研究テーマ:カスパーゼ阻害蛋白質IAP分解の可視化とその生理機能
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