臓器移植者のアクティブな生活習慣を支援するFit for Life! プログラム。

2015年秋のある朝、マドリッド生まれのFran Sanzさん(28)は、目覚めるとシャワーを浴び、朝食をとりました。いつもと同じようにはじまったその日は、Franさんにとっては特別な1日となりました。

朝食の後、彼はトライアスロンに挑み、水泳3.8キロ、自転車180キロ、マラソン42キロを12時間で見事完走したのです。まさに鉄人のなせる偉業ですが、Franは17歳のときに腎臓の病気である間質性糸球体腎炎と診断され、腎臓移植を受けてからまだ7年しか経っていませんでした。Franさんはトライアスロンを完走した最年少の臓器移植者となったのです。

「腎臓を移植した29才の女性が、どうやって健康を維持しているかですって?みんなと変わりませんよ。毎日祈り、笑い、心と体を鍛えています。でも、大変なことを経験した分だけ、より強く、より幸せに生きていると感じます。せっかく2回目のチャンスをもらったのだから、ぜひとも素晴らしい花を咲かせたいわ!」
Suretha Maartens, 29才。腎臓移植者。Fit for Life!アンバサダー。南アフリカ。

「臓器移植者は倒れるのが“得意”ですが、そこからさらに強くなって起き上がるのも得意なんです」とFranさんは笑顔で語ります。

WHO (http://www.transplant-observatory.org) によれば、世界中で毎年10万人以上の患者さんが臓器移植を受けています。移植の後、彼らはそれぞれのやり方で自己表現に取り組みます。そして、Franさんは、スポーツや運動を通じた自己表現は、競技への参加を可能にしてくれた臓器提供者に対する感謝の気持ちの表れだと言います。

ダブリンで暮らす元外科医のRonald Graingerさん(66)も、32才のときに腎臓の病気だと診断され、53才で移植を受けました。彼は、健康でいられる限り働き続けることによって、「授かった贈り物を守っていく」と言います。

「健康を維持することは、もちろん自分自身にとっても重要なことですが、他の人たちを勇気づけることにもつながります。移植が成功した場合、どれだけ素晴らしいQOLを取り戻せるのか、多くの人たちに見てもらうことができるからです」とRonaldさん。彼はフィランドのVantaaで開催されたヨーロッパ移植・透析患者競技会で、100メートル走、200メートル走、走り幅跳び、砲丸投げ、4 × 100メートル・リレー に出場しました。

「私たち臓器移植者は、臓器提供者とそのご家族の方々、医師、看護師、事務担当者など、移植医療に関わる多くの人々の愛と博愛精神の賜物なのだと感謝しています」
Carolina Vargos Ropero, 33才。腎臓・膵臓移植者。Fit for Life!アンバサダー。コロンビア

「競技でいい成績を収めるのは素晴らしいことです。しかし、それ以上に大切なのは、健康な状態で参加できる人たちと一緒に競技を楽しみ、それによって臓器移植に対する一般の関心を高め、臓器を提供していただいた方に対する感謝の気持ちを表現することです」とRonaldさんは言います。

南カリフォルニアのAshleigh Moungerさん(28)は、大学で運動科学と心理学を専攻していました。ウイルソン病という代謝系の希少疾患で2015年に肝臓移植を受けた彼女は、学んだ二つの学問を自分自身と他の臓器移植者のために役立てています。「重要なのは、自分自身が感じる限界を超えて前に進むことを、自分自身に教えて勇気づけること。そして、他の人も同じようにできるのだと伝えて勇気づけることです」と彼女は言います。

Ashleighさんは、移植手術のわずか3週間後にレースに参加し、5キロを走破しました。それが彼女の言う「健康なライフスタイルへの旅」の第一歩でした。「臓器や組織の提供者は、私たちにとってのヒーローです。私たちが生命の糸をつなぐことができるよう、臓器や組織を提供してくれまたのです。だから、この贈り物を大事にし、以前と同じように活動し、健康に食事し、私たちの手術創を誇りに思うべきです」とAshleighさんは言います。

Franさん、Ronaldさん、Ashleighさんは、いずれも手術創に誇りをもち、スポーツのスター選手でもあります。そして3人は、世界移植者スポーツ大会連盟(World Transplant Games Federation) とアステラスが支援する「Fit for Life!」プログラムのアンバサダーでもあります。Fit for Life!プログラムのスローガンは、「より多様な臓器移植を、より活発に、より多く」。12人のアンバサダーが、移植施設で自らの運動方法について紹介したり、スポーツプログラムへ参加したり、他の移植者を移植者スポーツ大会に参加するよう促す活動などをしています。

「自分の可能性を信じることで何ができるかを、練習や競技への参加を通じて知りました。私の目的は記録を破ることではありません。自分自身を信じることから広がる可能性を、他の臓器移植者の方々にもわかってもらえるよう支援していくことです」
Montague Summers, 27才。Fit for Life! アンバサダー。オーストラリア。

Fit for Life!プログラムは、臓器移植を受けた患者さんが運動や団体スポーツへ継続的に参加することで充実したアクティブな生活を送れるよう支援し、世界中の移植者と移植者を取り巻く人々の明日を変えることを目的としたアステラスの取り組みの一つです。アステラスはこのほか、臓器移植に対する日本人の意識改善に努めている日本臓器移植ネットワークの「グリーン・リボン運動」、毎年米国の何万人もの若者に臓器提供についての事実を伝えている「Chris Klug Foundation」、全米各州から移植者たちが集結する「アメリカ移植者スポーツ大会」を支援しています。

Fit for Life! アンバサダーの1人であるニュージーランドのMatthew Fieldさん(29)は、「深刻な病気にかかっているときでも、その後でも、運動や団体スポーツに参加することは自信につながります。だからこそ、技量や経験、健康状態、社会的地位に関係なく参加できるFit for Life!プログラムや移植者スポーツ大会の取り組みには、大きな意義があるのです」と言います。

トライアスロンで素晴らしい記録を残したにもかかわらず、鉄人Fran Sanzさんは言います。「真の成功は、ゴールテープを切ることではなく、私たち一人ひとりが抱える問題に立ち向かい、日々の戦いに勝つことです。移植を待っている多くの患者さんにスポーツを通じて勇気を与え、その先に待っている素晴らしい人生のあり方を見てもらいたいと思っています」

「スポーツを通じて、臓器移植の素晴らしさを多くの人に知らせたい。そのために、母が譲ってくれた腎臓を活かし、適度な練習を続けています」
Hitoshi Totsuka, 47才。Fit for Life!アンバサダー、日本