ストレスへの対処、オンラインでの患者支援、化学療法の疲労軽減に取り組む3名を表彰

「父が頭頸部がんと診断されたとき、今までの日常にはもう戻れないと悟りました」と米国アステラス オンコロジー部門のMark Reisenauerは語ります。

「診断された瞬間から始まる闘病の道のりを適切にガイドし、がん患者さんやその家族、介護者をサポートしてくれるツールや支援が少ないため、実際に日常がどれほど変わるのか、改善するにはどうすれば良いかが全くわかりませんでした」と彼は続けます。Reisenauerのこの経験をきっかけに、C3 (Changing Cancer Care) Prizeを創設に奮闘しました。

C3 Prizeは、がんと共に生きる患者さんとそのご家族、介護者に対して、がん治療の向上をもたらす新たなイノベーションを、医薬品以外の領域から募るグローバルなプロジェクトです。受賞者3名には総額10万ドルの助成金が授与され、「MATTER」(医療分野における課題を解決するために、医療を含む幅広い分野で活躍する人々を支援する、シカゴに本部を置くインキュベーター組織)への参加資格も与えられます。

C3 Prizeが創設された2016年は、15ヵ国の100名を超える患者さん、介護者、医療従事者、技術起業家から応募がありました。その中から最終選考に残った5名が、Stanford University School of Medicine主催のヘルスケアテクノジーカンファレンス「Medicine X」でプレゼンテーションを行いました。審査員は、Reisenauerのほか、エミー賞を受賞した米国の人気テレビ番組「Shark Tank」のスター出演者であり起業家でもあるRobert Herjavec氏などが務めました。

Robert Herjavec氏は、2007年に卵巣がんで母を亡くしており、母の介護者としての経験がきっかけでC3 Prizeへの協力を決めました。Robert Herjavec氏は次のように述べています。「私の個人的な経験から、これらのアイデアの全てが、がんと共に生きる患者さんやご家族のニーズに応えるものと期待しています。技術の進歩が日常生活の改善に大きな効果と影響力を発揮するものと信じています。」

受賞者は、2016年10月7日にコペンハーゲンで開催された「欧州臨床腫瘍学会(ESMO)」で発表されました。いずれも、がん治療へのイノベーションとなりうる、ユニークでチャレンジに満ちたアイデアでした。

最優秀賞を受賞したDiane Jooris氏(ブリュッセル、ベルギー)は、がんの治療前から治療中、治療後まで、すべての期間を通じて患者さんの不安やストレスを和らげるバーチャルリアリティ(VR)モジュールを開発したOncomfort?社の共同創立者です。50,000ドルの助成金が授与され、小児患者用の新たなVRモジュールの市販化に充てられます。

「妹のMathildeの介護をしていた際、数週間にわたる乳がん治療で蓄積したストレスに対処することが、いかに難しいことであるのかを知りました。Oncomfortは、バーチャルリアリティ技術を利用して、患者さんがストレスをコントロールするテクニックを習得することを支援すると共に、患者さんに分かりやすい情報提供を行うことで、患者さんが自身のストレスを低減させ、安心、快適さを実感することができるモジュールです。」とDiane Jooris氏は述べています。

優秀賞のMark Harrison氏(メルボルン、オーストラリア)はAustralian Prostate Cancer ResearchのCEOで、同社の双方向オンラインシステムPROSTMATE?は、前立腺がんの患者さんに対して、一人ひとりに合わせた専門医のサポ-トをオンラインで提供します。また、治療前後の進行状況を追跡できるプライベートなポータルサイトにもなります。25,000ドルの助成金が授与され、PROSTMATE?の周知に活用されます。

もう1人の優秀賞受賞者であるLarry Pederson氏(ワシントン州シアトル)は、化学療法を受けたがん患者さんの疲労を軽減し、生活の質を高められる光線療法装置を開発したLitebook? Companyの創立者です。25,000ドルの助成金が授与され、がん関連団体や患者さん、介護者に向けたLitebookの周知に活用されます。

Reisenauerは、「C3 Prizeは、がんと共に生きる人々の生活を変えたいと考える人々から、斬新な発想と視点を募るためのグローバルなプログラムです。受賞者の方々が実現したイノベーションは、患者さんとそのご家族、介護者の毎日を、より良いものにしていくことでしょう」と述べています。

2016年度C3Prize受賞者

最優秀賞
Diane Jooris氏(ブリュッセル、ベルギー) 医療技術企業OnComfort TM の共同創立者。不安や疼痛を自己管理できるバーチャルリアリティシステムを提供し、患者さんを支援。

 

優秀賞
Mark Harrison氏(メルボルン、オーストラリア) 前立腺がん患者さんが病気に立ち向かう為に必要な情報や支援、ツールを、一人一人の状況に合わせて入手できる双方向オンラインシステムPROSTMATE TMを開発。

 

優秀賞
Larry Pederson氏(シアトル、アメリカ)Litebook Commpany  (本社:カナダ)創立者。患者さんの体内時計をリセットし、活力や睡眠、生活の質全般の向上に役立つ光線療法装置を発明。