
2005年4月1日、売上高約9000億円、株式時価総額およそ2兆円に上る国内有数規模の製薬会社が誕生した。それが山之内製薬と藤沢薬品工業が合併したアステラス製薬である。これにより日本の医療用医薬品市場ではトップ企業に肩を並べた。この合併の背景にあるのは、いまや世界の大潮流となっている製薬メーカーの合従連衡のうねりだ。現在、世界の製薬業界は新薬開発と販売競争の激化を背景に、世界的規模のM&Aによって、グローバルメガファーマと呼ばれる超大型多国籍企業が誕生し始めている。合併して巨大化した外資は、そのスケールメリットをテコに成長スピードを加速させつつある。こうした動きに対抗すべく日本では両社が先陣を切って合併。競争が激化する日本市場で地歩を固めるのはもちろん、今後も成長が期待できる米国市場、さらにはアジア市場などへ打って出るのが狙いだ。合併10年後の2015年、アステラス製薬が目指す姿は「グローバル・カテゴリー・リーダー(GCL)」である。すなわち、アステラス製薬が強みとする複製の疾患・領域(=カテゴリー)において、 世界をリードする製薬企業へと成長していくのだ。

アステラス製薬は、シナジー効果がもっとも期待できる組み合わせだ。たとえば海外展開面では、旧山之内は欧州に強みを持ち、旧藤沢は北米に強いといった補完効果がある。R&Dの面では両社とも10年近く遺伝子解析の蓄積をもつが、旧山之内は遺伝子解析に、旧藤沢はタンパク解析にとりわけ強みをもつなど、今後の成長の鍵を握るゲノム創薬の領域でも大きなシナジー効果が発揮できる。
何より人の融和がスムーズに進んでいる点も大きい。企業風土の異なる企業の合併の場合、社員間の意思疎通に問題が生じるケースがある。だが、両社とも「病気と闘う患者さん一人ひとりの力になる」との思いは共通だ。目標に掲げる「人々の健康に貢献する、医療用医薬品の世界企業へ」の確固たる意思も変わらない。「星」を意味するラテン語、ギリシア語などで「大志の星」「先進の星」を表した造語「アステラス」を冠し、世界の患者さんに貢献する新薬を生み出すべく、いま走り出したところだ。