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胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎

タイプ別原因と症状・治療

胃腸に起きる障害の主なものとして、胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎などがあります。人によって症状のあらわれ方や程度はさまざま。自然に治ってしまうものから継続的な治療が必要なものまであります。自分で判断してしまわずに、医師の診断を受けるようにしましょう。

1. 胃炎
●急性胃炎
急性胃炎は、簡単に言うと、胃の粘膜がただれたりはがれたりして起こる病気。暴飲暴食や薬、ストレスなどによって起こる外因性の急性胃炎と、消化器以外の病気、すなわち感冒やインフルエンザなどによって起こる内因性の急性胃炎に分類されます。

・外因性
みぞおちあたりの強い痛み、胃もたれ、食欲不振、吐き気、嘔吐、胸やけ、吐血、下血などの症状があらわれます。その原因は、暴飲暴食やアルコール、香辛料など刺激の強い飲食物の過剰摂取、ストレス、抗生物質や消炎鎮痛剤によるものなどです。症状にあわせた薬物療法と食事療法を行います。原因がはっきりしているときは、まずその原因となっているものを取り除きます。

・内因性
感冒やインフルエンザ、肺炎などの細菌やウイルスの感染によって全身にあらわれる症状のひとつとして起こります。胃の痛みやむかつきなどの症状があらわれ、食欲不振になります。

●慢性胃炎
食後の胃の痛み、胃もたれ、胸やけ、げっぷ、吐き気などの症状がありますが、急性胃炎ほど強い症状ではありません。原因は、胃の運動(機能)障害だと考えられ、最近ではfunctional dyspepsia(FD、機能性胃腸症)とも呼ばれています。胃内に生息するヘリコバクター・ピロリ菌との関係は明らかではありません。また、加齢とともに胃の粘膜が弱くなってきたことが原因になることもあります。治療法は、急性胃炎と同様胃をいたわることです。できるだけ規則正しい時間に時間をかけて食事をしたり、暴飲暴食やアルコール、刺激物の摂取を控えたり、脂肪の少ない良質のタンパク質や野菜、果物を摂るようにします。消化の悪いものや、冷え過ぎたり、熱過ぎたりするものを控えることも大切です。

【用語解説】
ヘリコバクター・ピロリ菌
長年、胃の中には細菌は存在しないとされてきましたが、1982年オーストラリアの研究者によりヘリコバクター・ピロリ菌(以下、ピロリ菌)という細菌が発見されました。この細菌は、胃の粘膜にとりつき、胃酸から身を守るために、ウレアーゼという酵素を分泌し、胃内の尿素を分解してアンモニアをつくり出します。そして自身の周囲をアルカリ性に変え、胃酸を中和して生活しています。このアンモニアをはじめピロリ菌の産生する毒素が胃壁を傷めて、炎症を起こしてしまいます。日本人の約半数がピロリ菌に感染しているといわれていますが、とくに高齢者の感染率が高くなっています。ピロリ菌に感染しているかどうかは、検査をすればすぐに結果がわかりますが、実は感染していること自体に問題はありません。重症の胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍などトラブルが起きたときに除去することを考えればよいでしょう。

2. 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、あわせて「消化性潰瘍」ともよばれ、胃や十二指腸の粘膜が、自ら分泌した胃液により消化され潰瘍ができる病気です。
もともと胃液は胃酸とペプシンという消化酵素からなっています。通常、胃粘膜の表面は粘液で覆われ防御機構が働いて粘膜を保護しています。しかし何らかの原因でその機能が低下すると、胃粘膜が胃液によって傷害を受け、潰瘍が生じます。
胃潰瘍は食後や空腹時に現れるみぞおち辺りの痛み、十二指腸潰瘍は空腹時に現れる右上腹部や背中の痛みが特徴です。そのほか、胸やけ、げっぷ、腹部膨満感、吐き気、嘔吐などの症状が現れ、ひどくなると吐血や下血がみられます。原因としては、ピロリ菌、飲酒、喫煙、ストレス、一部の消炎鎮痛剤などがあげられます。治療は、出血している場合は内視鏡的治療で止血、そうでない場合は胃酸を抑える薬の服用が効果的です。消化のよいものやタンパク質、ビタミンを多く含む食品をとり、規則正しい生活を心がけましょう。ストレスをためないことも大切です。胃潰瘍・十二指腸潰瘍は再発しやすいといわれていますが、前述のピロリ菌が陽性の人は除菌治療をすることによってかなりの確率で再発を防ぐことができるようになりました。

刺激物は控える

【コラム】
痛み止めで胃潰瘍が起こる!?

痛み止めの薬によって胃の粘膜がダメージを受け、胃潰瘍などが引き起こされることは、以前からよく知られています。以前は「アスピリン潰瘍」などと呼ばれるほど、胃腸の調子を崩す例が多く見られました。アスピリンに代表される、NSAID(エヌセイド)と呼ばれる非ステロイド性抗炎症薬は、解熱、鎮痛、抗炎症作用をもつ薬物です。これらの薬は、発熱や頭痛、歯痛、手術後の疼痛などの治療薬として、また関節リウマチなどの慢性炎症疾患の治療薬として広く用いられてきました。けれども、NSAIDは副作用として胃腸障害を引き起こしてしまう場合があり、胃痛や胃の膨張感、胸やけや食欲不振、悪心や嘔吐などがみられることがあります。

【発症メカニズム】
胃の粘膜ではプロスタグランジンと呼ばれる胃の粘膜を保護する物質が作られています。一方痛みのある場所では、別の種類のプロスタグランジンが炎症の原因となっていることもあります。NSAIDは、炎症の原因となるプロスタグランジンを減らすことで痛みを抑えるわけですが、同時に、胃の粘膜を保護するほうのプロスタグランジンも減らしてしまうので、胃粘膜障害が起きてしまうのです。

3. 逆流性食道炎

食後の胸やけに悩まされる人が増えています。胃の中の胃酸が食道に逆流することがひとつの原因と考えられています。食道には胃のような粘膜防御機能がないため、食道の下端が繰り返し胃酸にさらされると、食道粘膜が次第にただれてしまい、逆流性食道炎を起こしてしまいます。胸やけ、口の中にすっぱい液が溜まる、などの症状が現われます。原因は、食べ過ぎや飲み過ぎ、油っこい食事、腹圧上昇、食道裂孔ヘルニアなどによって、食道と胃の境目にある、胃酸の逆流を防ぐ下部食道括約部がうまく働かなくなることだと考えられています。また、食べ過ぎた後、または肥満やお腹を締め付けたりすることにより、胃やお腹への上向きの圧力が強くなり、胃が押し上げられてしまうこともあります。治療としては、胃酸の分泌を抑える薬の服用とともに、暴飲暴食を控える、お腹を締めつけない、など生活習慣の改善も重要です。



逆流性食道炎ってどんな病気?

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