アステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長CEO:安川 健司、以下「アステラス製薬」)は、更年期に伴う血管運動神経症状(顔のほてり・のぼせ等のホットフラッシュや寝汗、以下「VMS」)の治療薬として開発中の選択的ニューロキニン3(NK3)受容体拮抗薬fezolinetant(一般名、開発コード:ESN364)について、更年期に伴うVMS患者を対象とした後期第II相臨床試験結果を、ニューオーリンズで開催された米国内分泌学会(ENDO)2019で口頭発表しました(抄録番号OR33-6)。本試験では、ほぼ全ての投与群において投与後4週と12週時のVMSの頻度の減少および重症度の低下が認められ、米国食品医薬品局(FDA)から推奨された4つの主要評価項目をすべて達成しました。

 コロラド州デンバーの婦人科医で、後期第II相臨床試験の治験責任医師を務めたArthur Waldbaum博士は、「VMSは女性のQOL(生活の質)に重大な影響を及ぼしますが、現在、それに対処するための非ホルモン治療の選択肢は限られています。本試験により、fezolinetantが早ければ投与後1週間で症状を改善する可能性を示唆する有望なデータが得られました」と述べています。

 後期第II相臨床試験結果の概要は以下の通りです。

 本試験では、356人の患者にプラセボまたはfezolinetant 1日2回(以下BID群、1回投与量は15-90 mgの範囲)、または1日1回(以下QD群、1回投与量は30-120 mgの範囲)のいずれかを無作為に投与しました。

 ほぼ全ての治療群において、fezolinetant投与群はプラセボ投与群に比べ、投与後4週と12週時の中等度から重度のVMSの平均回数および平均重症度について統計的に有意な改善を示しました。fezolinetant投与群では、治療期間(12週)を通して効果が持続しましたが、fezolinetantの投与を中止するとベースライン値に戻りました。

 fezolinetantの投与によりVMSの平均回数はプラセボ投与群に比べ、有意に減少しました。投与4週時におけるベースラインからの1日当たりの平均回数は、プラセボ投与群に比べ、fezolinetant BID群は1.9~3.5回、QD群は2.3~3.0回減少しました。投与12週時におけるベースラインからの1日当たりの平均回数は、プラセボ投与群に比べ、fezolinetant BID群は1.8~2.6回、QD群は2.1~2.6回減少しました。ベースラインから12週時までのVMS平均回数の減少率は、プラセボ投与群が55%であったのに対し、fezolinetant BID群は74.3~86.9%、QD群は75.1~77.9%でした。

 また、fezolinetantの投与によりVMSの重症度もプラセボ投与群に比べて改善しました。VMSの重症度は、投与後4週時でプラセボ投与群と比べfezolinetant BID群は1日当たり0.5~1.0点、QD投与群は0.4~0.7点低下しました。また、投与後12週時では、プラセボ投与群と比べfezolinetant BID群は1日当たり0.3~0.6点、QD投与群は0.2~0.5点低下しました。

 有害事象の発現率は投与群間で同様であり、ほとんどが軽度から中等度でした。死亡例や薬剤に関連した重篤な副作用は報告されていません。いずれかの治療群で患者の5%以上に発現した頻度の高い有害事象は、頭痛、悪心、尿路感染症、下痢、上気道感染症、倦怠感、ウイルス性上気道感染症、副鼻腔炎および咳でした。子宮内膜の増殖は報告されていません。高用量のfezolinetantを投与した患者9人(3%未満)で、肝酵素のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の一時的な上昇が見られました。ビリルビン値が正常値の上限の2倍を超えた患者はいませんでした。また、投与中止後は、ベースラインのレベルにまで回復しました。バイタルサイン、臨床検査、心電図検査におけるパラメーター、血漿中骨マーカー濃度において、臨床的に重要な変化は認められませんでした。

 Astellas Pharma Global Development, Inc.のsenior vice president 兼global therapeutic area head, medical specialitiesであるSalim Mujais, M.D.は、「本試験結果により、fezolinetantが中等度から重度のホットフラッシュの症状を抱える女性のための有望な非ホルモン治療薬になり得ることが示され、心強く思います。また、低用量を含むfezolinetant の1日1回投与が、1日2回投与と同様にVMSの重症度と頻度を改善することも示唆されました。本試験の結果を受け、更年期に伴うVMS患者を対象とした第III相臨床試験を2019年中に開始する予定です」と述べています。

 なお、本件については、米国において、現地時間3月26日に対外発表しています。

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