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「こころの辞典」は、
「病気が教えてくれたこと」エッセイコンテストから生まれました
「病気が教えてくれたこと」エッセイコンテストは、新薬で世界中の患者さんの健康に貢献していくという当社の企業理念を、より広く理解していただくためのコミュニケーション活動の一環として、2009年8月から9月までの2ヶ月間実施しました。結果、全国より、11,970通という多数の応募をいただきました。
寄せられた作品には、応募者ご本人やご家族が、同じ境遇にある人、あるいは社会に向けて何かを伝えたいという願いが込められています。また、ご自身の病気について誰かに聞いてほしい、知ってもらいたいとの想いで応募された方も数多くいらっしゃいました。当社では、ひとりでも多くの方々のもとにこの声を届けたいとの想いから、入賞120作品以外の作品についても可能な限り多くの作品を紹介するため、「こころの辞典」として一次審査を通過した全739作品を掲載いたします。
「病気が教えてくれたこと」エッセイコンテストの審査にあたっていただいたのは、重松 清さん(作家)、倍賞千恵子さん(女優)、野村忠宏さん(柔道家)、Charaさん(アーティスト)の4名です。
審査員賞各2作品、全10作品の発表です。
各審査員受賞作品の全文および、各審査員の選評は「こころの辞典」スペシャ
ルサイトにて公開しています。
【重松 清さん総評】
大いなる矛盾。素晴らしい矛盾。
何度も圧倒されました。最初の一行から目と心がわしづかみにされてしまう作品がありました。まばたきすら惜しんで食い入るように読み進めた作品も、読み終えたあとの余韻にいつまでもひたっていたいと思う作品も、ほんとうにたくさんありました。「最初の読者」としての立場では、じつに幸せな時間でした。だからこそ、すべてのエッセイを読了したあとに「審査員」の立場に転じると、これほどツラい時間はありませんでした。
どれも素晴らしかった。文芸作品としての出来映えを問う以前に、お一人お一人の体験の重みは、そして病気という体験から得たものの尊さは、本来、決して競べることのできないものだとも思うのです。
病気でも怪我でも、痛みや苦しみというのは、物理的にはあくまでも自分一人のものです。それでも、そんな孤独な体験が、逆に「自分は一人ぼっちではない」ということを教えてくれる――。大いなる矛盾です。素晴らしい矛盾です。僕は、その矛盾こそが、人間だと思っているのです。
病気の自分を支えてくれたお医者さんや看護師さんがいる。さりげない一言で励ましてくれた友人がいる。痛みや苦しみを分かち合う家族は、全快したときに誰よりも喜んでくれるひとでもある。あるいは、健康のありがたさを病気になって噛みしめるというのは、昨日までの自分とのつながりを感じていることでもあるでしょう。また、「病気が治ったら、こんなことをしよう」「この体験を将来に活かそう」と思うのは、明日からの自分に思いをはせることでもあるはずです。
一人きりの痛みや苦しみが教えてくれた、さまざまなつながり――。審査を終えたいま、「審査員」ではなく「同じ時代の同じ社会を生きる仲間の一人」として、一つ一つの作品をゆっくり読み返させていただこうと思います。
重松 清(エッセイコンテスト審査員)