山之内製薬(旧)
2003年11月6日
10月30日〜11月1日にかけて宮崎市で開催された第26回日本高血圧学会総会の中で、コネチカット大学医学部のホワイト教授が、「長い血中濃度半減期及び中程度の血中濃度半減期を有するAU拮抗剤の血圧日内変動に対しての影響」と題する研究を発表しました。この試験ではABPM(自由行動下24時間血圧測定)を用い、長い血中濃度半減期を有するテルミサルタン服薬群と中程度の半減期を有するバルサルタン服薬群、それぞれの24時間の血圧を測定し、次回服薬直前6時間平均に加え、24時間平均、日中、夜間の4つの時間帯で血圧の平均値を分析した結果、テルミサルタンはバルサルタンと比べ、持続的な降圧作用を示しました。
従来の研究報告から、早朝から午前中にかけての血圧が上昇する時間帯と脳心血管イベントの発症時刻とのピークが一致することが指摘されています。近年、こうしたことから、イベントの発症抑制を目的とした早朝血圧のコントロールが重要視されるようになりました。早朝の血圧上昇にはRA(レニンーアンジオテンシン)系や交感神経が関与しているといわれ、RA系については夜間から起床時にかけて活性が亢進し、それによって血圧が上昇すると考えられます。
早朝の血圧は脳心血管イベントと強く関係していることからも、診察時の外来血圧よりも24時間にわたって血圧を測定する方が脳心血管イベントの予測をするうえで優れていると考えられています。今回の試験では、ABPM(自由行動下24時間血圧測定)を用い、次回服薬前の24時間にわたり血圧を測定、分析し、長い血中半減期を有するテルミサルタンと中程度の半減期を有するバルサルタンの降圧の持続性を比較検討しました。
試験では、軽中等度の高血圧患者490例(テルミサルタン群244例、バルサルタン群246例)を対象に維持量としてテルミサルタン80rもしくはバルサルタン160rを朝1日1回、4−6週間投与し、薬剤の降圧効果をそれぞれ24時間にわたって比較検討しました。(投薬開始時、初期量としてテルミサルタン40mg、バルサルタン80mgを2週間投与)。次回服薬直前6時間平均に加え、24時間平均、日中、夜間の4つの時間帯で、それぞれの収縮期血圧と拡張期血圧を分析し、主要評価項目を次回服薬前6時間平均の拡張期血圧としました。その結果、特に、次回服薬直前6時間平均血圧において、テルミサルタンはバルサルタンと比較して、強い降圧作用を示しました。
ホワイト教授は、この発表の最後に、「テルミサルタンは次回服薬直前6時間平均の収縮期・拡張期血圧ともにバルサルタンより強い降圧効果を示しました。また、長い血中半減期を有するテルミサルタンの24時間にわたる良好な血圧コントロールにより、心血管系疾患を改善する可能性があります。」と述べました。
補足資料
ミカルディス
は、高血圧治療のために1日1回経口で投与するアンジオテンシンII受容体拮抗薬(通称「サルタン」)です。ミカルディス
は、サルタンの中でも血中濃度半減期が約24時間と特に長く、24時間にわたって持続的な降圧作用を発揮し、脳心血管病発症リスクが高まる早朝の血圧を良好にコントロールします。また、腎臓を介さずにほとんどが胆汁中に排泄されるため、高血圧に合併しやすい腎臓障害を持つ患者への投与にも適しています。
ミカルディス
は現在、米国、ヨーロッパ諸国など世界65カ国以上で発売され、有用性を検証するため、長期大規模臨床試験であるONTARGET、TRANSCEND、PROTECTIONが、海外で実施されています。
ONTARGET
ONTARGET (ONgoing Telmisartan Alone and in combination with Ramipril Global Endpoint Trial)は、アジア、オーストラリア、欧州、米国、中東および南アフリカにまたがるグローバルで実施される多施設二重盲検試験です。心血管死、脳卒中、急性心筋梗塞の発症、心不全の発症および悪化による入院の減少を心血管系複合エンドポイントとして、テルミサルタン(製品名:ミカルディス
)単独1日1回投与、ramipril単独1日1回投与、両剤併用1日1回投与の3群を比較します。患者の登録は2001年11-12月に開始され、試験終了は2007年の予定です。年齢55歳以上、虚血性心疾患、脳卒中、末梢動脈疾患、糖尿病の何れかの既往歴に加え、心血管リスクファクター(高血圧、高コレステロール血症、喫煙、微量アルブミン尿)を少なくとも1つ以上有する患者が対象となります。
また、このONTARGET に付随してTRANSCEND (Telmisartan Randomized AssessmeNt Study in aCE iNtolerant subjects with cardiovascular Disease)が2007年までに終了予定で2001年11月に開始されています。これは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤に忍容性の低い患者を対象にテルミサルタン(製品名:ミカルディス
)80mgをプラセボと比較投与しONTARGETを補完します。TRANSCENDの主要目的は、心血管死、脳卒中、急性心筋梗塞の発症、心不全の発症および悪化による入院の減少を心血管系複合エンドポイントとして、それらにテルミサルタンが及ぼす影響を検討することです。二次エンドポイントとして、心不全新規発症、血管再建術、糖尿病新規発症、認知機能低下/痴呆、心房細動新規発症、腎症に与える影響も検討されます。対象は年齢55歳以上、心不全、脳卒中、末梢動脈疾患の既応歴または臓器障害を合併するT型・U型糖尿病を有する患者です。心疾患の結果としての症候群のある患者は除外されます。
PROTECTION臨床試験プログラム
ベーリンガーインゲルハイムは2001年、テルミサルタン(製品名:ミカルディス
)の脳血管・心血管系への影響を検討する同社の包括的な臨床試験プログラムの一環として、新たに9つの試験を実施することを発表しています。これら9つを総じてPROTECTION (Program of Research tO show Telmisartan End-organ proteCTIOn potential) プログラムと呼ばれ、欧州、南アフリカ、北米にまたがり合計5,500名以上の患者を対象に試験が実施されています。高血圧により引き起こされる末梢臓器障害に対するテルミサルタンの予防効果、及び、様々なステージの心血管系疾患を有する患者での有効性の検討がプログラムの目的です。
日本ではU型糖尿病の糖尿病性腎症に対してINNOVATION studyを実施し、このプログラムに参加しています。サルタン(アンジオテンシンU受容体拮抗剤)の臓器保護に果す役割について、更なるエビデンスが得られることが期待されています。
[会社概要] ◇ 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 (www.boehringer-ingelheim.co.jp) (英文名:Nippon Boehringer Ingelheim Co., Ltd.)
◇ ベーリンガーインゲルハイム (www.boehringer-ingelheim.com) (英文名:Boehringer Ingelheim GmbH )
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以上